怖いのだの、恋模様だの、情緒と心臓が散々振り回されて惚れてまう作品。
- ★★★ Excellent!!!
腹痛先生への今回の依頼は、断れない人物が関わった厄介に違いない依頼──。
わたしは読む順番を間違えてしまっていますが、毎回スペシャルてんこ盛り丼を出されている気がする……
怖いし、エグいし、痛いし、気持ち悪いし、人怖だし、ミステリーだし、なんかカッコいい儀式と呪文出てくるし、かめちゃん一途で可愛いし、すごく酷い状況なのに情味を見せてくれる人や誠実さを貫いてくれる人がいるし、物語の緩急も巧みでホラーとしてもエンタメとしても抜群に面白い。
読者を常に引き付けておく工夫をしましょう、なんて創作論で見かけて、無茶振りとしか思えないんですが、
──お手本みたいな作品がありますね、ここに。
背筋の冷えるドキドキと追い詰められたドキドキと恋模様のドキドキがあって、
次の一幕は一体どのドキドキなんだ!?
と、わくわくします。
独特の性格と独特の関係性にあるらしい腹痛先生のお師匠様も登場。
魅力的なキャラクターですが、意見の不一致が残念。
あの二人は、セット萌えするものであって、単品売りはナシ派です、わたし。
師匠のお使いは、特殊な場所から一般的な場所に移るのでペース落ちるかなと思いきや、中々とんでもない裏事情の爆弾をかましてくれます。
もうみんな満身創痍で、危地が何回もあって、
でも訴えかけた心をわかってもらえる瞬間があって、
情緒がすごく忙しいんですが、最後は和やかな場面で読者心を解放して休ませてもらえます。
あなた達が無事で、ホント良かった良かった。
この上ないホラーなので、ホラー嫌いな方は仕方ないですが、
それも勿体ないなあと思えてしまうハイスペックな満足感のある作品です。