冬のもの書き

真っ白になった指先は

悴みペンが握れない


凍てつく寒さに唇も

紫色になったまま

震えて言葉を紡げずに


こんな時でも言葉は溢れて

哀れな脳はオーバーヒート

真っ赤に燃えて眩暈がしそう


桃色の妄想

金色の理想

薔薇色の夢想


次々浮かんで

書き留めたいのに

できなくて


通りすぎた後に

同じようには思い出せない

ぼんやりとした灰色の世界


澪れた言葉は拾えないから

さよならごめんね

黒い染みになった残骸たち


土をかけたら

また来春

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢想家のよまいごと 石衣くもん @sekikumon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ