ファンタジーフリート
@ashw
第1話 遠き島より
繰り返し押し寄せる波の音が心地いい……
何時までもその音に浸っていたくなる……
「……ーい……」
「……おーい……」
波音に混じって聞こえてきたのは声、それも人の声だ。
重く安寧に浸っていた瞼を開く。
見えたのはユラユラ揺れる白だった。
それがスカートだと気がついたのはその上からのぞき込まれる顔が見えたからだ。
吸い込まれるような蒼の瞳と流れるような金色の髪がよくめだつ。
「あ、起きた……聞こえる?」
開こうとした口から漏れたのはただの空気だ。
「カラカラだね……ちょっと待ってね(ゴソゴソ)はいお水、飲める?」
水筒を渡されたものの、体はちらとも動かない……
それを見た彼女は水筒を戻しその中身を飲み、口づけをしてくる。
口移しだと理解したのは、水が口の中に広がったからだ……
むせかえらないように少しずつ飲み込んでゆく……
「ゲホッゴホッ……」
「大丈夫?!」
彼女がむせかえった自分に近づいてくる。
体を支え上半身をおこす。
それと同時に彼女の両手から淡く優しい緑の輝きがともり、荒かった呼吸が落ちついて行く。
「大丈夫です……大丈夫」
伝わるかどうかわからないが、両手を挙げて平気なことをアピールする。
「そう、良かった……」
安堵したように両手を胸の前で緩く組む。
「あ、ここにいるのも体に悪いね。肩貸すから……」
そのまま肩をかすような形で砂浜を歩いて行く。
見上げた先にはそれなりに大きな屋敷が見えた。
〈フリートシステムをインストール中……起動まであと50%〉
ファンタジーフリート @ashw
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