第5話:西尾一樹

俺は赤髪の天パのあいつにGANを譲った代わりに、どっかで適当に休んでいられるようになった。正直あのレベルの奴なら舐めプでも勝てるのだが、以前その前に戦う気が無く、さっきのガキのせいで気分も悪い状態で今適当に廊下で休んでいる。本当はあいつらを俺が誘導して避難させないといけないのだが、正直あいつらの命なんかそこら辺にいるアリと同じレベルで、踏み潰しても何も思わ無いレベル。一応死者が0人の場合報酬が貰えるのだが、正直量が見合わなくいかんせんやる意味が無い。まぁ取りあえずあいつに任せりゃ大丈夫だろうからそういう精神で適当に行動している。すると、いきなりドデカい爆発音と共に建物が徐々に崩れていく音が聞こえた。「おいおい嘘だろバリア出すの面倒くせぇよ」面倒くさいと思っているがその気持ちを押し殺し、上から崩れ落ちてくるコンクリートや蛍光灯を腕につけているバンドから円形のバリアを生成し身を守る。「これ便利なんだよなァ」と少し笑みを浮かべ、正面玄関の方向に向かって歩いていく。すると、赤髪の天パがこっちを見て歩いてくる。「倒したのか?」俺は天パに質問する。「あぁぶちまけちゃったよ内蔵を」と無表情で喋るこいつに少し不気味さを感じたが今はそれどころでは無くもっと重要な事があることを男に伝える。「おいあいつらの避難はどうした?」「え?お前がやったんじゃねぇのか?」「なんだやってねぇのかよ」俺は舌打ちをし、天パを鬼の目で睨みつけた。「いや私があいつを相手にしている間にお前が避難させてるのかと思ってだなァ…」「あぁもういい分かった俺がやる」面倒くせぇと思いながらも、組織で出される料理の事を考え仕方なく生徒達を避難させようと動いた。歩いていると正面玄関へと到着しバリアを解除し、外に出て校舎の壊れっぷりを見て俺は嘲笑した。「おい生徒達が見当たら無いぞ…」天パは冷や汗をかきながら、周りを見渡して捜していた。「どっかで死んだんじゃねぇの?」俺は捜す気も無く、やっと任務が終わった事を一人喜んでいた。「…よし分かった生徒は私が捜してくるからお前はそこで待っといてくれ」突然天パは俺にここで待つよう指示し、どこかに走って行った。困惑しながらもスマホを触り、ただひたすら時間を潰していた。少しした後に、天パが息を荒げながら一人の男を抱えてこっちに持ってきていた。その男は裾をまくっており、左足を負傷していた。「なんだそいつ生きてんのか?」俺はスッと浮かんだ疑問を、適当に天パにぶつけた。「…息はしているっぽい…あともう一人があっちにいるから運ぶのを手伝ってくれ」汗をかきながら必死に息継ぎをしているこいつを見て、俺は何故か申し訳ない気持ちになってしまった。その男の所に向かうために俺は天パの行く方向へと向かった。「ここだ」と言われたので天パの見ている方向に向かうと、校舎の裏口付近で倒れている奴がいた。半袖短パンの格好で特にこれと言った外傷は見当たらなかった。「きっとさっきの人が助けてくれたんだろうね」天パはしんみりとした声で、倒れている男に向かって喋っていた。「そんな奴見捨てれば良かったのにな」「君はいつ聞いても辛辣な奴だな…取りあえずこの人を運ぶの手伝ってくれよ」俺は嫌々仕方なく天パの言うとおりに行動し、今日の料理は何だろうと予想しながら男を一緒に運んだ。

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クロス @sanaka0624

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