第1065話 リサイクル

 飯場に帰ってくると、道は完成していた。


 なら、放浪組もいなくなったか? と心配したが、まだ旅立っていなかったよ。


「よかった。もういなくなったのかと思ったよ」


「まだ報酬をもらってないからな、どこにもいかんよ」


「そうだったな。マーダ村に靴を取りにいってくるよ」


 すぐにルースミルガン改で飛び立ち、完成したものをホームに運び込んですぐに戻った。


「十二足はできていた。あとはまだ一月くらいかかるそうだ」


「そうか。まあ、靴を作るなら仕方がないな」


 一日一足でも材料がないと作れない。材料を集めるのにも結構手間暇がかかるそうだ。


「それまでもう一つ仕事をしないか?」


「次はなにをさせる気だ?」


「マガルスク王国を回って、使えそうなものを回収しようと思ってな。欲しいものがあったら巨大化させてやるぞ」


 放棄された町や村があちらこちらにある。そこから使えるものを回収させてもうとしよう。リサイクルリサイクルぅ~。


「どうする? 別にここで狩りでもしながら待ってても構わないぞ」


「少し、長老と話し合ってみる」


「構わんよ」


 タダオンたちと別れ、ドワーフたちと面会する。


「ここに住む許可はもらってある。まだランティアックからは金を引き出せてないが、そのうち引っ張ってくる。とりあえずそれまで畑でも耕していろ」


 男爵からは好きにしろと言われてある。落ち着くまで自分たちの暮らしは自分たちで確立させてくれ。


「わかりました」


「金はあるだけ渡しておく。余裕があったらランティアックに買い出しに出ても構わないからな」


 もう避難民も街に散らばっている頃だ。商売も始まるはずだ。金を回せばさらなる復興が行われるだろうよ。


「はい。まずはここで作れるものを探します。猪も捕まえましたので」


 猪、どこにでもいんな。一番の最強生物は猪なんじゃね?


「それならカロリーバーを出しておくか。エサにすると肉質もよくなるだろう」


 栄養価のあるもの。猪もカロリーバーを食えば栄養満点の体になるだろうよ。


 ホームにあるカロリーバーを出した。


「これだけあればしばらく大丈夫だろう。もし、足りないときは自治領区にいるラダリオンにお願いしろな」


 ミサロはコルトルスの町に戻り、ラダリオンに自治領区に待機してもらっている状況だ。


「はい、わかりました」


 あとは任せ、ホームからRMAXを出してきた。


「メビ。RMAXで道の様子を見てきてくれ」

 

 まだRMAXが走れるかどうか確認してない。今のうちにメビに確かめてきてもらうとしよう。


「了解」


 RMAXに乗り込むと、すぐに山に向かって走り出した。


 またホームに入り、戦闘強化服を脱いでカーゴパンツとジャケットに着替えた。


「寒っ」


 まだまだ冬だな。もう二月くらいにはなっているだろうに。


 ゴブリンも山の中に移動してしまい、なんか巣を作り始めたと言っていた。そこを拠点にミルズガンを攻めるような感じっぽい。予定とおりにはいかないものだ。


 ホットワインを飲んだらナイフを五、六本持って巨人になった。


 腹の具合はまだいいので小さくなり、マイセンズで見つけた下着類、靴下を抱えるだけ抱えてまた巨人になった。


「ふー。まだいけるな」

 

 あと一回。ワインなら三本くらいならいけるはずだ。


 それで限界を向かえ、余市をお湯割りにしてして一休みする。この一杯が至福すぎる。


 一杯を飲み干し、さらなる至福を作っていると、タダオンたちが戻ってきた。もう話し合いが終わったのか?


「おれたち五人と荷物持ちとして三人連れていくことにした」


「そうか。まあ、お前たちも飲むといい」


 三本だけだが、まだまだ飲める体にはなっていない。お湯で割れば充分な量だろうよ。


 コップは持参しているので、お湯はこちらで用意してやった。


「やはりお湯で割ると体に沁みるな」


「ああ。こうして昼間から飲めるなんて贅沢すぎる」


 長く苦しい旅をしていたせいか、これだけ欲望に溺れさせても戒めが働く。これはもう呪いみたいなものだな……。


「そう急ぐ必要もないからな。今日はたくさん飲むといい。二日酔いになったら先を伸ばせばいい」


 オレものんびりできるなら二、三日は酒に溺れたいものだ。


「王国内を歩くなら湖に向かってもいいか? 昔、マーダ族が墓を作ったとされている。一度、見てみたいのだ」


 湖? ってあそこか? 墓なんてあったっけか?


「ああ、じゃあ、まずそこを目指すか。巨人の足なら三日とかからんだろうからな」


 山の中を歩くのと違い、道がちゃんとある。ランティアックから五十キロくらいだから三日くらいで到着できるだろうよ。


「わかった。三日なら、族長も連れていくか」


「別に何人でも構わないぞ。今のマガルスク王国は自由往来だ。巨人が歩いていても文句を言ってくるヤツもいないさ」


 逆に巨人が歩いているところに出てくるヤツはいないだろう。


「一族総出でもいいか?」


「もちろん。三日の距離だしな。オレは全然構わないよ」


「助かる。族長に話してみる」


「決まったなら明日の朝にここにきてくれ。そんなに早くなくてもいいからな」


 飯場からランティアック側に出るだけでも二時間くらいはかかる。昼に到着できるように出発するとしよう。


「わかった。じゃあ、明日」


 グラスを掲げて見送った。


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 2024年10月20日(日曜日) 第22章 終わり


 ここまで読んでくださりありがとうごさまいました。


 第22章が終われば、『ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく! 3』に移ろうと思います。よろしくお願い致します。

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ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく! 2 タカハシあん @antakahasi

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