西暦2222年

夕日ゆうや

西暦2222年

 西暦2222年。

 私たちは宇宙に飛び出していた。

 火星をテラフォーミングして、人の住める環境になった。

 地球では三つの宇宙エレベーターがあるらしいが、私は知らない。

 医療技術が進み、再生医療を可能にした時代。

「ほらほら。てめーみたいなカスは死んでろ」

 いじめは劣悪化していた。

「腕の一本ももげれば、わかるだろ!」

「ぐわぁぁぁぁあぁっぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 私は叫び声を上げて、その場に崩れ落ちる。

 簡単な理由だった。

 ただ私が先輩に気に入られたこと。好きでもない相手に好かれたこと。

 それが出し抜いたと見なされ、グループから追いやられたこと。

 ただそれだけの話。

 時代が変わっても、いじめの本質、人の心までは変わらなかった。

 のこぎりで切られた腕の断面は新しく、再生医療で傷跡もなく再生できたが――。

「肉体的損失による精神的ダメージ」

 それに伴い劣悪化した障害に対して、政府は新たな法律を求めていた。

 今の政治では裁けない事柄がある。

 そんな症例はいくつもある。その中でも私は軽い方だった。

 被害者となり、初めて遭う屈辱。

 肉体的欠損に伴う精神福祉が確立できていない現在。

 私たちは立ち上がった。

 全ては人の心を助けるため――。


 法改正は決して悪いことではない。

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西暦2222年 夕日ゆうや @PT03wing

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