I can reform me.

言の葉綾

I can reform me.

私は自分を変えたい。

何もかもを溢れ出させてしまう自分を。

止めどなく溢れる涙にストッパーを掛ける方法、

傷みを疼く感情に鎮痛剤を与える方法、

誰かと会話を交わす時の笑顔を作る方法、

皆とじゃれ合って笑い合って青春する方法、

全てを知りたい。

教室の片隅から覗く、日向の世界。

その日向の世界で、

Rationalを弁えた、

同じ学年の皆と同じように交流を持って生きていていられる自分に、

私はなりたい。


僕は自分を変えたい。

何もかもを抑え込んでしまう自分を。

紡がれる穢れた悪口を否定する方法、

表面上ではなく心の底から口角を上げる方法、

誰かと会話を交わす時に塗りたくられる嘘を抹消する方法、

心から信頼できる相手と穏やかに青春する方法、

全てを知りたい。

教室の真ん中から覗く、日向の世界。

その日向の世界で、

Originalを備えた、

自分に素直に真っ直ぐで自分の世界を大切に生きていられる自分に、

僕はなりたい。


学校に頑張って足を踏み入れたら、

理性の箍は外れてゆく。

普通は縛り付けるはずの唇の紐も、

家に入る時と、一人でいる時と同じように解けたまま。

教室に向かおうとするが、

陰の世界で生きる人には相応しくないってことくらい、

わかっているんだ。

ああ、いつもそう。

涙が零れ、

身体は不安と焦燥に駆られ、

結局保健室で一日を過ごすことになる。

お陰で欠時数は大変だ。

テストで赤点を取ってしまったら、

それこそ置いてけぼり、

留年になってしまうかな。

「純粋」「素直」「真っ直ぐ」

よく言えばそうかもしれない。

でも、私はこの性格が大嫌い。

だから、

同級生との距離感のはかり方がわからない。

態度の変え方がわからない。

噓が言えない。

誰にでも、何でも言ってしまう。

皆、平等だから。

感情のままに動いてしまうから、

自分の世界を邪魔されると、

顔が引きつってしまう。

苦しさ、辛さを我慢できない。

孤独が、この上なく怖い。

ちっぽけな不安でさえ、

教室へ行く足を阻む。

だから、私は、こんな自分を変えたい。


学校に到着したら、

僕は仮面を被って、本性を隠す。

今日もあいつらと駄弁るのか。

最初は楽しかったはずの授業の時間が、

授業より酷く退屈な時間になってしまった。

湧き出る同級生の悪口。

自分だって大層な存在ではないくせに。

そう言ってしまったら、崩れる人間関係。

複雑にしたくない。

退屈なはずなのに、そう思っている自分がいる。

そんなこと、本当は思っていない。

そんなの、ただの後出しじゃんけんになるのに、

僕はその悪口に首を縦に振ってしまう。

僕は毎日思う、

他の奴らに合わせることなく、

自分の思うがままに、

自分が動きやすいペースで、

動くことが出来たら、と。

だから僕は、一人でのんびり動ける、

そして嘘なんてつかない、

仮面なんて被らない、

素直で真っ直ぐな、

そんな自分になりたい。


私は

僕は


自分を変えたい。

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I can reform me. 言の葉綾 @Kotonoha_Aya

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