君と君の作品
白川津 中々
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素晴らしい作品はできたかい。それはよかった。さぞ、自信をもって発表されたのだろう。そのくせ、枕詞に拙作ですがなんて意味のない謙遜を付けるんだ。はっきり本当の事をいったら顔を赤くして自己正当化するのに。
勘違いしないでくれよ。僕はまっとうな読者なんだ。重箱の隅をつつくつもりはないし、屁理屈でいちゃもんをつける気もない。誤字脱字や多少の矛盾にも目を瞑るさ。君は文筆家ってわけじゃないんだからね。けれどもね。少なくとも作品と表現するなら、相応の水準に達してからの方がいいと思うね。あえて聞くよ。君のその文字列とスラムの壁に描かれている落書き。いったいどう違うのか説明してくれないかね。僕には同じに見える。どちらも等しく、価値がない。
腹を立てたね。やっぱり君はその落書きが評価されて然るべきと信じていたんだ。けれど残念ながら、君と、君が作品だといってはばからないそのゴミは、永遠に評価される事はない。だからずっと、願っているといい。いつの日か分かってくれる人が現れるはずだと。
つくづく、哀れな奴だよ君は。
君と君の作品 白川津 中々 @taka1212384
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