ママとの別れ
更に月日が経って、神ではなく女神からコンタクトがあった。女神との会話には懐かしい名前が出てきたの。
「サツキさん、初めまして。私はこの世界で女神を務めている【アネモネ】と申します。サツキさんのお母様オドレイさんから頼まれて、深淵の森へお邪魔させてもらいました」
「えっ、ママに頼まれたの?ママは元気にしてるんですか?」
別れてからも1日たりとも忘れた事のない、最愛のママの名前に胸が踊った。しかしアネモエからの返事は残酷なものだった……
「オドレイさんは、残り僅かな命なんです。最後にあなたに逢いたいと言われてるので、私はここに参りました。オドレイさんには大変お世話になりましたので、彼女の最後の頼みを叶えてあげたいのです。一緒に来てもらえますか?」
「行きます!連れて行ってください」
「かしこまりました。直ぐに参りましょう」
私は迷う事なくママの元へ向かうと返事をして、アネモネに手を差し伸べられたので触れる。『フッ』と一瞬で転移すると、そこにはアネモネの姿はなく目の前にマグノリアが居た。
「サ、サツキ様?」
「マグノリア、ママの所へ案内して!」
「はい!こちらへ……ただオドレイ様の意識はもうありません……その事は理解してください」
マグノリアに案内された部屋には、ベッドに横になり目を閉じた女性が眠っていた……歳をとってはいるけど間違いなくママだった。
「ママ……サツキだよ?」
私がママに声を掛けると、私と同じ髪色の女性が声を掛けてきた。
「あなたがサツキ姉様。七神女神様への祈りが届いたのね」
「女神アネモネがやって来て事情を聞いたの。ママの容態はどうなの?」
「3日ほど意識がない状態です。神聖魔法を使っても効果はないのでどうする事も……」
「そう、ママ?サツキの事が判る?もう……私の事なんて忘れちゃった?」
そう言いながらママの頬に触れてから、頬を合わせるとずっと聞きたかった声が聞こえた。
「私の天使が帰ってきてくれたのね。最後に逢いたいとアネモネ様に伝えたのよ。来てくれてありがとう」
「あぁ、ママ!」
「ママもね、ジャミアと戦う為に頑張ったのよ?サツキ1人に背負わせたくなかったの。ジャミアが7人の女神を創成したのを逆手に取って、七神女神教を起こして神の存在を消してるの」
「今は私がお母様に変わって布教をしてます」
「さぁ、サツキのこれまでの事をママに教えてくれる?」
「うん、あのね……」
その後ママは、私の話を聞きながら眠るように旅立って行った……
もう、逢う事はないと思ったママの最後を看取れた事を、私に逢いたいと女神に祈ってくれたママに、心から感謝して私は深淵の森へと戻ったの。
異世界転生、確定した未来に抗います 小桃 @tama19720728
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます