サツキとルークの居ない世界
※本編終了後のオドレイ視点のお話です。
「ごめんね……私以外の人間がこの森の中へ入る事を〚拒絶〛する!」
突然のサツキとの別れ、そして別れる直前にサツキから伝えられた。
「ママのお腹には新しい命が芽生えているの。こんな悲しみしかない場所に居ちゃ駄目だよ。お兄ちゃんの事は私に任せてね」
私のお腹にはデッカートの子供が居ると教えられた。気付くと私達は深淵の森の外へ転移していた。デッカートとマグノリアは何度も森へ踏み込もうとしたけど、〚拒絶〛の力には叶うわけもなくサツキの元へ行く事は出来なかった。
私達は失意のまま行くあてを探した。
マルグリット共和国へもペンドルトン聖教国へも行くつもりはなかった。更にサツキが居る深淵の森から離れるのも嫌だったの。レンドルド王国は滅びたけど生き残った人は居たので、その人達と集落を築いて少しずつ大きくしていって、サツキが近くに居る事を感じながら過ごしたの。
月日が流れてもサツキとルークの居ない世界に喜びを見いだせなかったけど、私はデッカートとの間に授かった子供を出産した事で状況が一変した。生まれた娘はサツキに瓜二つだった……
デッカートとマグノリアも喜びと同時に、また失ないのではないかと不安に駆られたのだった。この娘だけは……今度こそ守りたい。その想いを込めて失われた文明の言葉から【安寧な日々】という意味の【ユーザニア】と名付けた。
決してサツキとルークの事を忘れる訳ではない、2人と過ごした幸せな日々を常に抱きながらも、ユーザニアと4人で幸せな家庭を築いたの。
ジャミアも天界で黙っている訳ではなく、己への信仰を復活させる為に七神女神を創造して、女神達の力によりジャミアへの信仰を取り戻そうとしていた。
深淵の森に居るサツキはこの事を知らない、だから私達は【七神女神教】を起こして、神ではなく女神を信仰させて神の存在を消す事にした。
私達の暮らす集落に、【ユーザニア聖堂】を建築して七神女神を世界的に崇める第一歩を踏み出して、神なき女神の時代を目指したの。
『サツキ、ママ達もジャミアと戦うわ。離れていても常に心は1つだからね!』
私達家族の神を討つ為の戦いは、ジャミアが消滅するその日まで、この身が滅びようともその想いは戦い続けるのだった。
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