最終話 拒絶って最強だった件
ジャミアが光の粒子となり天界へと戻っていったのを確認して、聖剣を優しく抱きしめながら泣き崩れたの。
「お兄ちゃん……逢いたいよぉ……」
泣き崩れる私にパパとママが寄り添う。
「パパァ、ママァ……ごめんなさい。私のせいでお兄ちゃんがぁああああ」
「サツキは魔王サーノスを、ルークはジャミアを倒す為に辛い選択に迫られたのね。愛する子供達を救えなかったママを許して……」
「武神なんて言われながら、サツキとルークに頼る事しか出来なかった……情けないパパを許して欲しい」
それぞれがお兄ちゃんを失った事で自分を責めていると、マグノリアが私達に喝を入れる。
「ルーク様が今の3人をご覧になられたら悲しまれますよ。悲しむ事は仕方ないですが、下を見ないで前を向かないと浮かばれません……」
「そうね、こんな情けない姿をルークに見せられないわね。マグノリアありがとう」
「いいえ……」
マグノリアの喝のおかげで、前へ進む為にこれからの事を考える事にした。
それは、このままマルグリット共和国かペンドルトン聖教国へ戻るかをね。
パパはペンドルトン聖教国へ戻ろうと言ったけど、ママは神を信じる気にはなれないと拒否をしたんだけど、これは私も同じ意見だった。次はマルグリット共和国なんだけど私達が戻ると、オリヴィエ叔父さんが統治するのに邪魔になると判断したので、住む場所が決まらないのでママが溜め息をつきながら話す。
「はぁ~、どちらへも戻らないとなると直ぐに答えは出ないわね」
「あのね、私はこの深淵の森に居たいかな。魔素が溢れ出してるから、この聖剣で魔素を吸収させようかと思うの。私が生きてる間は〚拒絶〛の効果でジャミアは神として崇められないけど、私が居なくなる時に聖剣へ〚拒絶〛を隠すの。そして誰かが〚拒絶〛を手にしたら、その人にジャミアの消滅を託そうかなって思ってるの」
「そんな事が可能なの?」
「今はジャミアが私に制限を掛けてるから出来ない事が多いけど、私以外の人の手に〚拒絶〛が渡れば神をも滅ぼす力があるの。だから、私はここに残ってこの世界を見守るよ」
私の言葉を聞いた3人が、驚いて私の顔を見たので笑顔で別れの〚拒絶〛を発動したの。
「ごめんね……私以外の人間がこの森へ入る事を〚拒絶〛する!」
「サツキ!どうして……?」
悲痛な表情を浮かべながら話しかけるママに私は返事をする。だってママには明るい未来が芽生えていたから、穏やかな環境で暮らして欲しかったの。
「ママのお腹には新しい命が芽生えてるの。こんな悲しみしかない場所に居ちゃ駄目だよ。お兄ちゃんの事は私に任せてね」
言葉を伝えきった頃には、ママ達は深淵の森の外へ転移された。
それからの私は魔素の溢れる場所に聖剣を突き刺し、魔素を吸収させて【光樹】に変えた。私が居なくなった後は光樹に〚拒絶〛を隠したの。
〚拒絶〛を使って4種類の竜や、強力な魔物に光樹の守護を任せて、ジャミアを倒せる存在に〚拒絶〛を託す為に……
そして数千年の時が経って、遂に私の想いを託せる者が現れて、制限が外れた最強の〚拒絶〛を使ってジャミアを消滅してくれたのであった。
異世界転生 授かったギフト【拒絶】って最強だった件【完】
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