第62話 崇められない神になれ
お兄ちゃんはジャミアに聖剣を向けた。
「聖剣はサーノスを倒す為の物で、我に向けても無意味なのだよ」
ジャミアは余裕の笑みで答えると、お兄ちゃんは『ニヤリ』と笑ってから、自分の胸に聖剣を刺して大声で叫んだ。
「僕の命を捧げて……はあっ、サツキをこの世界に導くよ!だから、はあっ……ジャミアからママを守ってくれっ……」
叫び終わったお兄ちゃんがその場に崩れ落ちると、ママは両手を口に当てながら叫んだの。
「いやぁあああああー」
聖剣の中にお兄ちゃんの意識が流れ込んできて、私はお兄ちゃんと悲しい再会を果たす。
「お、お兄ちゃん……どうして」
「僕とサツキが双子なら僕が生贄になれば、サツキは戻れると思ったんだよ。ママを守る事は僕には出来ないからさ、後はサツキに託すよ。愛する妹よママを必ず守ってね」
お兄ちゃんは想いを私に伝えた後に、私の肩に両手を伸ばして力強く押した。
「お兄ちゃん!嫌だよぉ〜〜〜!」
お兄ちゃんに向けて叫んだ時には、私は聖剣ではなく元の身体へと戻っていた。
「……許せない……お前だけは許せない!」
『ふん、お前の〚拒絶〛には制限をかけているから、我を消滅させる事は不可能なのだ』
「倒す事は出来なくても、それ以上の苦しみを与えてやるよ!」
『お前の〚拒絶〛では我に傷一つ付ける事すら出来ぬのに?笑わせるな!』
私にはジャミアを倒す事は出来ないかも知れないけど、それ以外の事でもジャミアを追い詰める事なら可能なので実行する。
「ジャミア!お前が私の家族に手を出す事を〚拒絶〛する」
『ほぅ、確かに我を崇めないと言った、お前の母を殺せなくなったが、そんな事は苦痛ではないぞ?』
「ジャミア、お前は崇められる事のない神になれ!この世界の全ての者達が、唯一神ジャミアを崇める事を私は〚拒絶〛する」
この世界の唯一神として、全ての者から崇められる事を望んでいるジャミアにとって、今後は誰からも崇められる事がなくなった。それはジャミアが存在してないのと同じ意味になるの。
『き、貴様ぁあああああ!なんて事をしたのだぁあああああ!お前を直ぐに殺してやるぅうううう!』
ジャミアは激昂して神の一撃を振り下ろそうとしたが、振り下ろす事が出来なかった。
『なっ……』
どれだけ私の事を憎んでも手を出す事は出来ない。私の家族には当然だけど私が含まれてるからね。私を殺す事が出来れば発動してる〚拒絶〛の効果が切れるかも知れないけど、ジャミアには私を殺そうとする事が出来ない。
「さぁ、私の寿命が尽きるまで、お前は誰からも崇められる事は一切ないよ。神であるけど神じゃなくなった感想はどんな感じ?」
『クソッ、我が特別に謝罪してやる。だから〚拒絶〛を解くのだ』
「無理だよ。だってお前とはもう会わないからね。唯一神ジャミアが天界より降りてくる事を〚拒絶〛する!天界に戻ってもお前の使徒である天使からも、崇められない苦痛を味わってね!」
『なっ、ま、待ってくれぇええええ!』
ジャミアは悲痛な叫びをあげながら、光の粒子となって天界へと戻っていった……
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