第4話 君と

「起きて。」

その声とともに目を覚ます。

「降りるよ、荷物もって」

「あ、うん。」

彼女の後ろを着いて歩く。

後ろをそっとついていると

「なんで後ろ歩いてんの。話づらいし、なんか嫌だ。」

そう言いながら僕の袖をグイッっと引っ張った。

改札を出て、並んで歩く。

「ねぇ、これはあまりきいちゃいけないかもしれないんだけどさ」

突然のことだった。

「なんでさっき叫んだの?」

何かがグサッと刺さる。

「ちょっと、、、色々あったんだよ。」

ふーん。と、彼女はちゃんと答えない僕を少し見て何事も無かったかのように別の話題にすり替える。

少し申し訳ないとは思ったが、原因も何も分からないまま、何かを言う訳にはいかない。理由がわかったら。そしてまた聞かれた時に答えるとしよう。

僕らは歩く。時々喋りながら、そして笑いながら。こんな状況が続けばいいのに。と思ってしまう。

「見えてきたよ、学校」

僕らの高校が見えてきた。ここで、新しい生活が始まるのかと思うと、心がドキドキする。

そうして学校の前に立つ。興奮が収まらないのか心臓の高まりは増えるばかり。

「やっと着いたなぁ。んじゃ、入りますか。」

僕と並んで学校に入る。そうすると、案内の人が立っているのが見えた。

「あそこに向かおうか。」

「そうだね。」

と会話をしつつ、その場所へ向かう。

その瞬間。また僕は、前を見たく無くなったのだった。

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奇病にかかっても恋をしたい。 白神 凛 @huramyi

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