穀潰しの収穫

@fhidhioptt

穀潰しの収穫

実る時期秋の半ばにかかる頃私は鬱で仕事を辞める


遠方の親に報せはするけれど何を言われた思い出せない


職なけりゃこころも休まるはずなのに望み裏切る眠れぬ焦り


一日がいつ終わるのかもわからない何もない日々俺はどうなる


冬が来るネットで知り得た初雪も決して覗けぬこの窓の外


光なく薄ぼんやりと部屋の中私がいられる唯一の居場所


光熱費抑えて暖房消して臥す凍える身体何故か安らぐ


静けさに子供の頃を思い出す傍らに立つ無口な少年


おそらくはこの冬最後の雪嵐掻き分ける人窓から眺める


春開く鳥のさえずり虫もいて置いていかれる手も伸ばせない


訴えて最後に勝ち得た残業代日に日に消える心つられる


穏やかな夜に歩こう桜皆散った余韻もない春の道


雹が降る窓が全身受け止めて心躍るのを確かに感じる


梅雨入りの今日で三十路の誕生日今もひとりで何かを探す


夏になるかざす手のひら静脈に流れる不安日で温めて


履歴書を書き損じた山アルバイト即決採用気休めの金


勢いで性風俗へ馬鹿野郎医者にかかって自己嫌悪の週


あんなにもかけ離れていた一日の回る歯車足並み揃う


立ち止まる夕日が遠く沈みゆく見えざる天秤僕を持ち上げる


秋はすぐ失ったものは測れないだけど前向くそれでいいだろ

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