第7話 名前
あの出来事の後、俺と武器屋の男はしばらく一緒に暮らしていた。
食事も家事もすべてをしてもらっていたため、俺は罪悪感からか家事をさせてくれと頼むようになった。
だが男は
「大丈夫だ、坊主はゆっくり休んどけ」
と言い聞かなかった。
だが男は俺の猛プッシュに耐えられなくなったのか、いつしか俺に家事をさせてくれるようになった。
俺がやることは掃除、洗濯などだったが最近は炊事までするようになった。
どうやら男は料理も出来るようで、料理をよく教えてもらって一通りの料理は作れるようになった。
ある日、
「そういえば坊主の名前まだ聞いてなかったな。」
と、男が言い出した。
そう、俺たちは数ヶ月も経っておきながら名前を聞いてすらいなかったのだ。
「あ、…そういえばそうでしたね。」
男は
「ずっと坊主としか言ってなかったから忘れてたわ。ガッハッハッ」
と笑っていた。
「俺の名前は『ブラフ・マテス』。改めてよろしく!」
「こちらこそよろしくお願いします。」
マテス…何処かで聞いたことがあった気がするが、思い出せない…俺が必死に考えていると、
「坊主の名前も教えてくれ。」
とブラフが言った。
俺は
「ソードです…」
と小さい声で言った。
するとマテスは、
「良い名前じゃないか!」
と俺の名前を褒めた。
俺は嬉しい気持ちと共に、あのクズがつけた名前と言うことで、嫌悪感も抱いて複雑な気持ちだった。
「とりあえず、まあ、改めてよろしく!!」
とマテスは言った。
俺は複雑な気持ちのままだったがそこから切り替えて、
「よろしくお願いします!」
と、元気良く言った。
マテスは、
「良い声だ!元気が1番!ガッハッハッ!」
と笑った。
俺は嬉しさに照れながらも一緒に
「ハハッ!」
と満点の笑みで笑った。
俺はこの人生で初めて、ここまでの幸せを感じることができた─────
転生勇者は9代目 無人 @nonekoooo
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