第8話 結婚式

あれから5年経ち、今日は結婚式だ。

香澄が消えた後、何の話をしていたのか聞くと

万優花は赤面した後、真面目な顔になって

俺に言った。


「私ね、匠くんのこと好きだったの」


突然の告白に俺は戸惑って、何も言えなかった。


「香澄ちゃんはね、それを知った上で

私に匠くんを幸せにしてあげてって言ったんだ。

香澄ちゃん、ホントに優しすぎるよ」


万優花は目尻の涙を拭う。


「…そうだな。

でも、俺は香澄しか考えられないよ」

万優花には残酷だが、俺はそう断言した。


「うん、それでもいい。

わたし、頑張るから。香澄ちゃんよりいい女に

なるから。何年か経って匠くんの気持ちがわたしに向いてくれたら、それだけでいいよ」


…ホントにお前と香澄は似た者同士だな。


俺は一生、香澄以外を愛せないと思っていた。

だけど、万優花の優しさがあたたかさが

俺の心を溶かしていったんだ。


「万優花、綺麗だよ」

俺は白いウェディングドレス姿の

万優花を見て微笑む。

「ありがとう、匠くん。匠くんもかっこいい」

俺と万優花は入場するため腕を組む。


香澄ちゃん わたしたちの涙は光に変わったよ。

香澄


扉が開き眩しい光が俺たちを包む。


俺たちに前を向かせてくれてありがとう。

参列者の拍手の中俺たちは一歩を踏み出した。








終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その涙がいつか、光に変わるまで 藤川みはな @0001117_87205

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ