第7話 香澄の想い

万優花が匠くんのことが好きだ

ってことは1年前から気づいていた。


だから、わたしと匠くんが

じゃれ合っているのを万優花が

悲しげに見つめているのに気づくと

いつも万優花に申し訳ない気持ちになった。


わたしが余命わずかだって分かったとき、

ようやく罪悪感から解放された。


万優花、どうか匠くんを幸せにしてあげて。


頼めるのはあなたしかいないの。


匠くんはきっと

わたしのことを忘れられないだろう。

名前の通り優しい万優花なら匠のそばにいて

悲しみを和らげてあげることができるよ。


「その涙が、光に変わるまでわたしは

二人を見守ってるから」


あぁ、泣かないって決めていたのに。


「香澄ちゃん! 行かないで!」


身体がボロボロと崩れていく。


万優花は悲痛な面持ちでわたしに手を伸ばす。


「香澄っっ」


バイバイ、匠くん。

わたしのことを愛してくれてありがとう。


だけど、これからは万優花のことを

愛してあげてね。


私は光る破片となって空に吸い込まれていった。


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