終章

 それから数日後。私たちにはごく普通の、ありふれた日常が戻ってきた。

 ここ二か月物語の暴走が起きていたのは、やっぱり田中先生のせいだった。

 田中先生はあの一件後、学校をやめて姿を消した。

 ヴォーパルソードをもらえたのか、そうでないのかは分からない。

 でもまたいつか会えたら。またちゃんと話がしたいなって思う。

 叶うはずのない願いが叶ったときの人間の選択について。

 多分、お互い平行線の答えしか出ないとは思う。

 それでも、話し続ける努力がしたいって思うんだ。

 奈央ちゃんは、部活を辞めた。

 そして今は、麗奈ちゃんと同じ家庭生活部に入った。

 麗奈ちゃん、かわいい小物をたくさん作ってSNSに上げてるらしいんだけど、奈央ちゃんも一緒にかわいい小物、作ってるんだって。

「麗奈ちゃん、私の意見を求めてくるんだよ? 変だよねぇ」

 そう言って、奈央ちゃんは笑った。テニス部にいたときには見えない笑顔だった。

 そして、私と本条くんは。

 また物語の暴走が起きないか目を光らせながら、帰宅部と学校生活を楽しんでいる。

「ねぇねぇ本条くん、図書館に寄って帰らない?」

「図書室じゃなくって図書館かよ」

「私たちが出会った場所、なんだか久々に行って見たくなっちゃった」

「……ま、ヒマだし、いいんじゃね?」

 特別司書官としての私たちの旅はまだ始まったばかり。

 本を読む人たちが幸せで、そしてこの世界に生きていたいと思ってくれるといい。

 そんなことを、空を見あげながら思った。


(完)

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物語レボリューション! 工藤 流優空 @ruku_sousaku

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