第39話 誰もやりたくない

玉子の謹慎中に学校では会議が行われていた。


「校長先生、庭野玉子さんは危な過ぎます。

社会人にチャンスをと言うのはわかります。

しかしですよ、入学から二日間でこの騒ぎ。

どうするつもりですか?」


教員室の教師はうんうんとうなづく。


「腐ったみかんの時代なんですよね。

今は時代が違います。生徒もヤンキーなんかいません!」


「いやー、腐ったみかんどころか、カビで真っ黒けじゃないですか?」


「あー、ありますよね。頂き物で食べきれなくてビニル袋のまんまだと下の方がねぇ。」


「そうなのよ。和歌山のいいみかんだったりするじゃない?ガッカリしちゃうのよね。」


「あら、冷凍しとくのよ、冷凍み、か、ん。」


「やってますわよ、それでも入り切らないじゃない?」


「うちの奥さんはジュースにしてますよ。

最近、流行ってる、ほら、あの、洒落た名前の。」


「スムージー‼️」


「みなさーーーん‼️‼️

今はみかんの保存法の話をしてる場合じゃありせんよ!

先生方も緊張感が足りませんぞ!」

でっぷり太った三山教頭は汗をかきながら

話を遮った。


「そうでしたな、教頭先生。

えーと、なんの話でしたっけ??」


「庭野玉子の処遇についてです!」


「あ、そうそう。

校長先生、どうなさるつもりですか?」


「二年の天野さんに話を聞いたところ、

庭野さんには感謝されていて、カツラで前が見えなかったんだろうと言うことで処分は

望んでないんですよ。

ご両親も彼女がイジメから救ってくれた事を

喜んでおられますしね。

本来ならイジメには、私達が気づいて対応するべきな訳ですしね。」


「そう言われますと、、、。

私達の指導不足も、、。」


「いや!権田川先生への殺人未遂は許されませんぞ!」


「そっそうですよ。あんなゴリラ川先生を

あそこまでやっちゃえるなんて、普通じゃありませんよねぇ。」


「本当よね、やっぱり元ヤンキーってすごいですわね。」


「みなさん‼️また脱線してますぞ!

校長先生は、不問にしたいと考えておられるんですか?権田川先生はどう思われてるんですか?」教頭は汗ビッショ。


「私?いや〜、あれは神業ですねぇ。

是非是非、柔道部を作りたいですなぁ。

これは全国制覇も夢じゃないぞー!」


(もう、どうしようもない教員ばかりだ。

うちの学校は一体全体、まともな者はいないのか、、。)

教頭は2ℓのペットボトルの水を一気に飲み干した。


「まだ二日ですし、もう少し様子をみませんか?社会人と言っても還暦過ぎた生徒ですし順応するのに時間もかかりますよ。」


「校長先生がそう仰るなら、、、。

しかし担任の若月先生は辞めたいと言ってますよ。担任はどうされるんです?」


「担任、、、。どなたか担任になって下さいませんか?」

ガリ勉校長は教師の顔を見る。

一斉に視線をそらす教員達。


「いらっしゃらないようですね、、。

わかりました。臨時採用を早急にしてみましょう。少し、心当たりもありますし。

それで、宜しいですか?」


「はい‼️是非、いや、絶対、必ず、どんな人でもいいから見つけて下さい❗️」

(んなもん、あんな生徒の担任になったら

定年まで命が持たない、まだ、子供の教育費や家のローンも残ってるのに)

教員達の思いは同じだった。


ガリ勉校長、本当に担任の当てなんかあるのかい?

あの野獣玉子を黙らせるような人間は

いるのだろうか、、。



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ヤンババ高校生になる 菜の花のおしたし @kumi4920

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