第2章 出会いと再会 43

6着目の説明を受けながらどれを何と答えようか光司は思考を巡らせていると担当が一旦その場から席を外した。


再び二人だけになると光司は不意に日和の方へ視線を向けた瞬間、日和はふらついて今にも倒れそうになっていた。


「おいっ…!」光司


考えるよりも体が先に動いていた。 そんな感覚だった光司は気づくと倒れそうになっていた日和の肩を両手で支えていた。


「大丈夫か? 顔色が悪いぞ」光司


「ごめんなさい…少しめまいが」日和


「何か飲み物買ってくるからそこの椅子に座って待ってろ」光司


「えぇ…」日和


思いがけない光司の気遣いに内心戸惑いながらも言われるままに椅子に腰掛けると光司はすぐに自販機を求め外へ出て行った。


あれから彰人は結局30分ぐらい待合室で雑誌を読みながら待っているとようやく待合室の扉が開けられた。


「大変お待たせ致しました。 宝道様、6番のブースへお越しくださいませ」案内担当


「はい。 あのすみません、御手洗借りてから行っても大丈夫ですか?」彰人


「はい、大丈夫ですよ。 右側奥の通路を真っ直ぐ行って頂いた左側にございます」案内担当


「ありがとうございます」彰人


それから彰人は用を済ませると一人で先程言われたブースへと向かって歩いていた。


光司の戻りを待っていた日和は不意に目の前の扉が開けられる音がして椅子から立ち上がって数歩進んだ。


「ありがとう、こう」日和


その瞬間、まるで時が止まってしまったように日和はその場に立ち尽くした。


「日和……!」彰人


「あき兄さん…」日和


それは運命か偶然か、彰人は一番見たくないと願っていたウエディングドレス姿の日和と4年ぶりの再会を果たした。


思いがけない再会に二人は驚きながらも互いに視線を逸らせなかった。


言葉なく見つめ合うその向こう側には館内の自販機でお茶を買って戻ってきていた、二人を見つめる光司の姿があった。

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宝石箱のマリオネット 桜庭 夢乃 @3968-482

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