階下
俺は少し左右に動きながらステップを踏み体の調子確認してみる。
(凄い…。体が軽い。まるで体の重さを感じない…)
そして、体の調子を確認できた俺はゴーレムの懐に一気に飛び込んだ。
狙いはゴーレムの太ももの辺りだ。切りつけた部分がガリっといいながら、何か引っ掛かるような感触があったが身体能力が向上している為、むりやり引き裂けた。
そしてそのまま素早くゴーレムの後方へと走り抜けた。そして俺の居た場所を見てみると今頃ゴーレムが腕を振り下ろしていた。
なるほど…。身体能力向上とはここまで凄いのか。これなら何度でも行ける!
再度ゴーレムの懐に飛び込み今度は胸の辺りを抉るようにナイフを突き刺し土を剥がしていく。
それを何度か行うと、胸部内に何かしら鉱物のような存在を見つける事が出来た。
ルフが横から説明してくれた。
「あれが核だよ。あれを抜き取ればゴーレムは活動停止するよ!」
俺は一回深い呼吸を入れてからゴーレムの懐に飛び込んだ。そして相変わらず、腕を振り下ろそうとしているので核を左手で掴み抜き取り、後方へとステップを踏んだ。
するとゴーレムは意思を無くし、ゆっくりと崩れてその場でただの土塊へと還った。
すると入って来た扉から開錠する音がした。更に階下へ行けると思われる扉も出現したようだ。
「ふう。終わったな。ルフがいなかったらマジで危なかったよ。来てくれてありがとう」
ルフは恥ずかしそうに笑っているようだ。
「えへへ。面白かったから問題ないよ」
「じゃあ、俺はこのまま下へ行くわ!」
「うん」
「色々ありがとな」
俺はこれ以上名残惜しくなると思い、そのまま階下の扉へ向かって歩き出した。
そして扉を開き階段を降りようと一歩踏み出そうとした時、肩に何かが乗る感触があった。
「一緒に地上を目指そうね!」
「え!?ルフ?なんで?」
「だって、私も下へ行きたいんだもん。もうプラ爺ちゃん達とも別れは済ませているから問題なし!」
俺は唖然とし少し口を開いてポカンとしていた。
ルフは悪戯が成功したような顔をしている。
「まあ、今後とも宜しくね異人さん!?」
俺は厄介な共が出来たなと思いつつもこれから仲間になる者に返事をした。
「ああ、こちらこそ頼むよ妖精さん!」
こうして異人と妖精のコンビは階を降って地上を目指す冒険が始まった。
塔の下には楽園がある 白羽 卯鳥 @ShirahaneUchou
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