第11章37話 赫く濁った世界の冒険

*  *  *  *  *




 地下へと続く大穴を下り始めた私とアリス、そしてBPだったが……。


「……どこまで続いてるんだろう、この穴……?」


 周囲を警戒しつつゆっくりと降りていることもあるけど、なかなか『底』――というか足場のあるところに辿り着かない。

 というか、周囲の様子がさっぱりわからない……。

 星のような光が瞬いているけど、別に明るいというわけではない。むしろ真っ暗闇の中、と言っても差し支えないくらいだ。

 ただ、光のある位置が段々と広がっているようには見える。なので、下るほど空間が広がっているとは思える。


「まだまだ先まで続いているようだ」

「うーん……そっかー……」


 ドローンを先行させているBPにもまだ終わりは見えてきていないらしい。

 まさかとは思うけど、このまま『底なし』なんてことはないよなぁ……。

 どうすべきかなー……ここを降り続けて何もないという見切りをどこかでつけて、地上へと戻る決断をどこかでする必要があるかもしれないなぁ……。

 でも地上側で進展があるかっていうと、それもまた何とも言えない感じだし……。




 ……と、色々と悩みつつ更に降下を続けること――どれくらいだろう? クエスト内ということもあり時間の感覚もちょっと曖昧だけど、10分くらいだろうか。

 とにかく結構な距離を降り続け、そろそろ戻ることに私の考えが傾き始めた頃だった。


「! 足場らしきものにたどり着きそうだ」


 ついに私たちは足場へと到着することができた。

 周囲の暗闇と同じような色をしていてはっきりとは見えなかったけど、横方向へと伸びているらしい。


「足場があるっつっても、どこかに穴が開いてたりするかもしれねぇからな。

 戦闘にでもならない限り、使い魔殿はオレが抱えておくぜ」

「……そうだね。お願いするよ」


 むぅ、いつまでもアリスにしがみついているわけにはいかないんだけど、今の私は自力では飛べないからなぁ……もしうっかり穴に落ちたとしたら、助からない可能性が高い。

 落っこちたとして助けが間に合うかは何とも言えない。

 足手まといが続いてしまうけど、ここはアリスの言う通りにした方が良いだろう。

 そんな心配をしつつ、ようやく足場へと降り立った時だった。


「!? 周りの景色が――」


 アリスとBPが足を着けた瞬間、

 星の瞬く真っ暗闇の空間から、突如地上と同じような――赤黒い結晶に覆われた世界へと変わったのだ。


「これは……明るくなったんじゃなく、別のフィールドに来たって感じだな」

「うむ。後方を警戒させていたドローンも消滅した――間違いなく別フィールドであろうな」


 なるほど……あの大穴は別フィールドへの入口だったというわけか。で、フィールドが切り替わってしまったので、背後というか上側を警戒させていたドローンは接続が切れて消えてしまったということらしい。


「どうやらこちらが正解だったらしいな」

「だね……」


 ニヤリといつものように笑うアリスに、私も肯定を返さざるを得ない。

 私たちが辿り着いた新フィールドは、赤黒い結晶に覆われた世界ではあるものの地上とは全く異なる様相を呈していた。


「この中だと覚えているのはオレだけか。

 ――


 ……私もその場にいたはずなんだけど、記憶には残っていない。アリスたちから話を聞いただけの知識だけど……。

 ガイア内部、その最深部――最終決戦の地にこのフィールドはよく似ていた。

 平地のあちこちに聳え立つ朽ち果てた巨人の武具……それらは全て赤黒い結晶と化している。

 聞いていた話と違うのは、それらに加えて『巨人』と思しき遺骸――の結晶もあちこちに転がっているのと、見たこともない建造物の残骸も転がっていることだ。

 そして、決定的なのは私たちの視線の先……。

 あまりにスケールが違いすぎて距離感がバグってるけど、かなり離れた位置に結晶の『塔』のようなものが見える。

 地上から上空へと延びる、今までに見たことのないくらいの巨大な『塔』……明らかにそこが『目的地』なのだと思える。


「あの『山』がクエストの終端ということになりそうだな」

「オレには『樹』に見えるが、まぁ同感だ」


 私には『塔』に見えるけどね。

 ともかく、『高い』ものというイメージは共通しているか――アリスの意見であれば、神話にある世界樹みたいな感じかな。

 まぁ何であれ、あそこに向かうべきという意見は皆共通しているみたいだ。


「……相変わらず遠隔通話はダメかー……」


 フィールドが切り替わったんだし、ということでちょっと期待してたんだけど、やはり遠隔通話は誰にも通じなかった。

 隣にいるアリスにも通じなかった時点で望み薄ではあったか。

 これはもうどうしようもないと割り切るしかないかな。


「あの大穴から落ちてくればここにやってこれる、というのであればいずれ追いついてくるだろうさ」

「……あるいは我らよりも先に来ている、という可能性もある」

「だね」


 口には出さなかったけど、もしかしたら、と私は考えていた。

 出発点が各自の自宅であると仮定した上で、地上にあった『裂け目』が家を飲み込む形で広がっていたとしたら――最初から『裂け目』に飲み込まれてこっちのフィールドに来ている可能性はあると思うのだ。

 ひとまず全員のステータス自体は変わらず無事なのはわかっているし、不安ではあるけど心配するほどではないとは思うけどね……いきなり体力がゼロになったりすることもあるからなぁ、分断された時とかは特に。


「方針は変わらず、仲間との合流は出来ればって感じで私たちはこのまま進もう」


 幸い、私たち側の『戦力』はかなり突出していると思う。地上に現れたギガースやもっと強力なモンスターが出て来たとしても何とかできるだろう。

 ……その意味では、アリスとBPが欠けている他の子たちがちょっと厳しい局面が出てくるかもとは思うが……どうしようもないしね。




 ともかく、私たち一行は遥か彼方に見える『塔』目指して進むしかなかった……。




*  *  *  *  *




「ふん、やはり空を飛べれば速いもんだな」

「だねー……こっちに慣れ切ってたからねー……」


 地上と異なり、地下世界の方は普通に空を飛べるようになっていた。

 というか、ある程度の高さになるとやはり天井があるのだけど、地上みたいに建物を飛び越して進めないので意味がない、というほどではない感じだ。

 多分だけど、周囲にある遺骸の結晶あるいは武具の結晶の中で一番大きなものに高さが合わせられているっぽいね。

 飛ぶには十分な高さなので、私たちは快適 (?)な低空飛行で先を急いでいるわけだ。

 この調子なら、思った以上に早く『塔』の麓にたどり着けるだろう――そのまま中に入って昇っていかなければならないのか、それとも外側を飛んで昇っていけるのかは、行ってみないとわからないけどね……。


「注意せよ、『敵』がこちらへと向かっているようだ」

「おう!」


 BPの偵察ドローンが『敵』の存在を捉えたようだ。そして相変わらず役に立たないレーダーさん……。

 それはともかく、やはりすんなりとはいかないらしい。

 やがて私たちの目にも見えるくらいの距離に『敵』が現れた。

 その姿は――、だった。

 モンスター図鑑にはこれらも『ギガース』の名で載ったので、地上に現れたのとは別種のギガースということなのだろう。あまりにも姿が違いすぎるので、『別種』というのはちょっと憚られるが。


「今までと変わらず、邪魔になるやつだけを薙ぎ払って先に進む――それでいいな、使い魔殿?」

「うん。状況が変わるまではそれで行こう!」


 というより、地上のギガースと違ってこちらのギガースは、本当に誇張なく『スライムの津波』のようなものなのだ。

 まともに相手にしていたら、魔力がどれだけあっても足りはしない――たとえアリスの《星天崩壊エスカトン天魔ノ銀牙ガラクシアース》であっても、一発で全てを倒しきることは難しいんじゃないかというくらいの量である。

 ……もし他の皆もこっちに来ていたとして、このギガースに襲われたとしたら……と少し嫌な想像をしてしまうけども、まともに戦わずに振り切って逃げるのは可能なはず。

 そう信じて私たちは進むしかない。




 で、スライム状のギガースを薙ぎ払いながら私たちは『塔』を目指す――


「チッ、しぶといっ!!」


 足元から私たち目掛けて触手を伸ばしてくるギガース。

 とにかくその数が半端ない。

 ほぼ全方位から同時に襲ってくる触手に捕まらないように捌いていくのが精一杯で、私たちの足は完全に止まってしまっている状態だ。

 しかも、アリスが言う通り、結構しぶといのだ。

 ギガースが一匹だけなのか、それとも群体なのか判別はつかないが、とにかく倒しても倒してもキリがないって感じだ。

 それに加えて見た目と違って触手も結構硬くて、巨星魔法一発でギリギリ一本の触手を潰せるかどうかってところである。


「……かといって、こいつら相手に接近戦は仕掛けたくねぇな……」

「同感だ」


 その主な理由は、私のせいなんだけどね……。

 多分だけど《竜殺大剣バルムンク》であれば触手も容易に断ち切ることはできると思う。何なら《フレイム》とかで《バルムンク》は強化可能だ、巨星魔法を放ち続けるよりも効率はぐっと良くなるのは間違いない。

 けどそうすると接近戦を仕掛けざるをえなくなるし、私を抱きかかえながらでは剣を振れない。かといっておんぶしても戦いにくいのには変わりない。

 ……まぁ私の存在を抜きにしても、このギガースたちには……という気持ちが強い。

 見た目がキモいというだけではない。

 何だろう……本能的な『嫌悪感』のようなものが湧き上がってくるのだ。

 私たちと相容れない、正しく『異物』――そう、『異世界からの敵』という感覚がする。

 触れたくないし、視界にも入れたくない……存在そのものを認めたくない、ある意味では汚物のようなものと言えば伝わるだろうか。とにかくそんな感じだ。

 二つの理由から戦い辛い、そんな相手である。


「くそっ、このままじゃ先に進みねぇな……」


 大問題なのはそれだ。

 厳密には進めていないわけではないんだけど、ギガースが邪魔してくるため戻ったり迂回したりを繰り返しているため、このままだと何時間たっても『塔』にたどり着けないだろうということだ。

 しかもギガースは減ることはなく増える一方だ。

 『塔』に向かうどころではなく、いずれ自分の身を守ることで精いっぱいになってしまいジリ貧に陥ってしまいかねない……。

 ……こういう時に一番有効な『速さ』を持つクロエラには頼れないし、『変装』で誤魔化せそうなジュリエッタもいない。

 火力一辺倒のアリスとBPであっても切り抜けづらい相手という、なかなかハードな状況である。

 でも、だからと言って嘆いてばかりもいられない。

 足手纏いになってばかりもいられないし、『考える』のは私の役目だと自負している――いや、まぁアリスもBPも脳筋気味なのは否定しないけど。


「…………一か八かになっちゃうけど、一点に火力を集中させて一気に駆け抜けていってしまうしかないかも……」


 ……まぁ結局出てくる案はそんなくらいなんだけど……。

 でも幾らでも現れてくる相手に火力を小出しにして切り抜けようとしても無駄だろうとも思う。待っているのはジリ貧になって追い詰められる未来だけだ。

 なら、多少のリスクを呑み込んで大火力で無理矢理道をこじ開けて、そこを全速力で駆け抜けて先を目指す方が確率は高いと思う。

 それに『塔』に近づくにつれてギガースが増えているように見えることから、やはり『塔』こそが本命であるという考えが正しいんだろうとも思えてきている。

 まずは『塔』にたどり着く。そこを乗り越えられなければ話は進まない……そういうことなのだろう。


「あそこにボスがいないとは限らないが――いや、温存しようとしてここで全滅じゃ話にならねぇか。

 オレはいいぜ!」


 私の考えにアリスは是を返してくれる。

 彼女の魔法で一点突破するなら、《嵐捲く必滅の神槍グングニル》――そしてそれに他の神装を加えた魔法だろうか。

 ちょっと消費は重いけど、この状況なら《エスカトン・ガラクシアース》よりはそちらの方がいいはずだ。


「BP、貴様は遅れずについてこい!」

「――否。ここは我が道を切り開く!」


 が、ここでBPが否を返してくる。

 そして私たちの返事を待たず、彼女が『塔』と私たちの間へと素早く入り込み――


「吼えろ『ライオンハート』!!

 マーシャルアーツ 《46・トライアド・メガキャノン》ッ!!!」


 かつてルールームゥの霊装でできた要塞を吹っ飛ばした砲撃を繰り出す。

 威力もそうだけど、発射に伴う凄まじい衝撃波が周囲を薙ぎ払い、ギガースの津波に大穴を穿つ。


「更にマーシャルアーツ 《アブソリュート・ゼロ・ウェイブ》!!」


 続けて放ったもう一つの魔法が、穿たれた大穴の周囲を凍らせて『道』を作り出す。

 絶対零度アブソリュート・ゼロの冷気で何もかもを凍らせる魔法か……! やはりというべきか、BPの戦闘力は桁違いのものであるようだ。


「よし、道が開けたな!」

「急げよ、そう長くは保たんぞ!」


 BPの言う通り、これは一時凌ぎに過ぎない。

 数で勝るギガースたちは押し寄せ続け、凍り付いた部分を無理矢理砕いて道を塞ごうとしてくる。

 殲滅戦が目的ではない。

 言われるまでもなく、私たちは全速力でBPの開いた道を通り抜けて先へと進もうとする――が。


「もう来た!?」

「チッ、流石に向こうも今まで通りのんびりとはしてくれないか……!」


 私たちの後を追って、後方から次々とギガースが押し寄せてくる。

 そいつらとも合わさって氷の道が崩壊し始めてゆく……。

 このままでは私たちも飲み込まれるかもしれない!


「――案ずるな、勇者たちよ」


 だが、そこでBPがそう言うなり……。


「マーシャルアーツ 《アブソリュート・ゼロ・ウェイブ》!!」


 再びの絶対零度の冷気で私たちの周囲を氷漬けにして動きを封じる。

 けれども、これもさっきと同じ――すぐにやつらに圧し潰されてしまう。


「マーシャルアーツ 《エンフィールド:グラヴィティ》――これで貴公らの周囲にはしばらく相手は近寄れぬ」

「!? BP、貴様……まさか!?」


 私たちの周囲に重力場を作り、これまた一時的な防御壁を作り出した後、BPはその場に留まる。


「征け。この場は我が引き受けた!」


 そして――私たちの返答を待たずに周囲のギガースへと向けて砲撃を開始……。

 派手に動いてギガースたちの注意を自らに惹こうとする……。


「BP!!」

「……いくぞ、使い魔殿。BPの助けを無駄にするわけにはいかん!」


 BPの想いを汲んだアリスは、振り返ることなく全力で『塔』へと向けて躊躇わず進む。

 ……そうするしかないことは私にもわかっている。

 でも……残ったBPがどうなるか……いかに彼女の戦闘力が優れていようとも、圧倒的な物量の差を見れば明らかだとしか言えない。


「悪いが他人の心配をしている余裕はないぞ!」

「! う、うん!」


 全てのギガースがBPに向かっていくわけではない。

 むしろ、『塔』側から現れるギガースは、BPではなく私たちの方へと明確に目標を定めて襲い掛かろうとしてきている。

 空を自由に飛べるのであれば上空まで昇って避けることはできるのだけど、今の制限された高さではとてもではないが回避しきれるものではない。

 魔力消費覚悟で、今度こそアリスの神装で切り抜ける以外に道はなさそうだ。

 ……そう思った時だった。




「うおっ!?」

「うわぁっ!?

 ……こ、これはBPの魔法……!?」


 離れた位置から放たれた砲撃が、私たちに迫るギガースを吹っ飛ばしてゆく。

 よく見ると私たちの近くに一機、ドローンが飛んでいた。

 おそらく、このドローンで私たちの周囲の様子を見つつ、照準を定めてマーシャルアーツを撃ち込んでくれているのだろう……。


「……世話になりっぱなしだな」

「うん……このクエストを必ずクリアして、世界を元に戻さないとね……!」


 どうしてここまで協力して、というか私たちに託そうとしてくれているのかはわからない。

 けど、助けてもらった恩は必ず返す。

 BPだけに限った話じゃないけど、クエストをクリアしてA世界を元通りに戻す――それだけが、皆にできる恩返しであり、私たちが為すべきことだと思うから……。




 BPからの援護射撃のおかげもあり、私たちはギガースの群れを突破。

 何とか『塔』の近くまでたどり着くことに成功したのだった。




◆  ◆  ◆  ◆  ◆




 ――これで良かったのだな、


 一人残ったBPはギガースの波を捌きながら思う。

 彼女がここに残ったのには『理由』がある。




 ――『このまま「ゲーム」が終わるならそれはそれで良し……けど』

 ――『終わらないだけじゃなく、ラビっちたちの勝ちをなかったことにしようとしてくるかもしれない』

 ――『あたしの中で「ゲーム」も決着はついた。ラビっち……いやありすの勝ちを、余計な茶々を入れて覆されたくない』

 ――『だから……もしもの時、あたしはあの子たちのことを最優先にするつもり』

 ――『マキナパイセン、茉莉ちゃん。あなたたちはどうする?』




 最終勝者決定戦が終わった後、美鈴ケイオス・ロアに呼ばれて茉莉BPマキナオルゴールは彼女の想いを聞かされた。

 ……美鈴も薄々感づいていたのだろう。ラヴィニア同様に、このまま終わらないかもしれないと。

 ラヴィニアとの違いは、胡散臭いとはいえ自分の使い魔ミトラが運営そのものである、とまでは疑っていないことくらいだ。


 『何か』が起こるかもしれない。

 『何か』が起こるとして、それは『ゲーム』の勝敗を引っ繰り返すようなものであろう。

 となればその標的はラヴィニアとアリスになる――美鈴はそう考えた。

 その『何か』に自分が干渉することができるかどうかはわからないが、『ゲーム』の勝敗絡みであれば勝者決定戦に残ったチームが絡む可能性は十分高い。

 なぜならば、ラヴィニアの勝利を取り消すのであればを決めなければならないのだから。

 ……勝者なき無効試合、という可能性もゼロではないが、自分が介入できる可能性があるならばという仮定に基づいた考えである。

 要はいざその時が来た時に迷わず行動できるようにする、ということだ。


 茉莉とマキナは美鈴の問いかけにYesを返した。

 元より自分たちは勝者決定戦に出る資格もなかったのだ。

 唯一の資格を持つ美鈴がそう言うのであれば断る理由はない。




 だからBPはラヴィニアたちを先に進ませるために一人残ったのだ。


 ――……出来るならばもっと着いていきたかったが、仕方あるまい。


 使い魔が『人』になっており、しかも仲間も近くにいない状態のアリスには出来る限り一緒にいてあげたい、という気持ちはあった。

 しかし、押し寄せるギガースの波は途絶える様子もなく、しかも時を追うごとに質量を増していくように思えた。

 一応の認識能力はあるようで、より脅威となりえるであろうBPの方へと気持ち多めに向かってきているように見える。

 それならば自分は『囮』となって砲撃を繰り返して美鈴の言葉通りラヴィニアたちを先に進ませた方が良い――そうBPは決断。

 もちろん、後で追いつけるのであればそうするつもりではいる。


「――来るが良い、異形の魔物共。

 勇者の征く道……邪魔はさせぬぞ!」




 果たしてこの先、自分がどうなるのか――

 BPも不安に思ってはいる。

 けれども、彼女は信じた。

 姉のように慕う美鈴ケイオス・ロアの考えと、それに従った自分の判断を。

 そして、最後の勝者となったアリスたちの力を。




 アリスたちの道を切り開くため、BPはたった一人でギガースの波へと立ち向かい続ける――

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アリスの流儀 ~脳筋バーサクJSは魔法少女となり全ての理不尽に立ち向かう~ 小野山由高 @OnoyamaAXE

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