第2話 二週間ぶりの再会

二話 2週間ぶりの再開


ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ビビビビビビビビビビビ.......


「うぅ、 あと三分」


目覚まし時計の最終勧告の音に目を覚ましてまもなく二度寝に入ろうとする。


「礼愛君、 起きて、遅刻しちゃうよ。」


聞き慣れた 綺麗で透き通る優しい声が、 耳元で聞こえる


「七瀬.....................」


「え、三十分経ってる!!」


やってしまった、今日は登校初日で高校生活の一大イベント。 クラスで自己紹介があるというのに!!!!


ドンドンッ


一階の玄関から妹の春野が起こしに来てくれたようだ。


「おーい礼愛兄、 遅刻するよー。 ご飯置いとくからねーー。 行ってきまーす!」


はぁぁ、とため息をつく俺は、 寝坊して気の重くなった体をしょうがなく起こし、 朝の身支度を始めた


現在時刻8:00。 始業ベルは8:30。


家から学校まで自転車で三十分。 現在、 パジャマ。


終わった...


家には誰もおらず、テレビはつけっぱなしで朝の情報番組がお料理コーナーの実演をしていた。 「今日は、青椒肉絲か、ってやべっ!」


遅刻遅刻、、


両親は幼い頃に離婚、母親は移ったが滅多に家に帰ってこない。 そう、これが俺の普通、愛情というものを受け取ってこなかった俺には、恋やら愛やらの正解がわからない。 でも俺は、七瀬という女性に恋をし、告白までした。 多分その恋は不正解だったのだろうか、 女心というのは本当にわからないものだ。


テーブルを見ると、かわいい妹が朝ごはんを用意してくれている。


愛しの礼愛兄様へ♡春野より♡


と、ブラコン満載の置き手紙を添えて、手作りのオープンサンドが皿の上に盛り付けられていた。


妹に悪いが全力で胃に流し込み、 全力で車輪を回し学校に向かった。


「うおおおおおおおおおおおーーー!!」


現在時刻は8:20分、まだ間に合う! 全力で自転車を漕いできた結果、 学校まで一キロの 時点で残り十分。 二、三分は余裕を持って学校に到着できそうだ。 なのに、なのに、なんで、 なんで七瀬が道端で体育ずわりで電柱にもたれかかってるんだよ、 テンプレ展開かよ。


"礼愛君? どうしてここに?"


"お前が倒れてるから気になったんだよ、 (手を差し伸べる) 立てるか?"


“ううん立てない、抱っこして?”


と、上目遣いしながら身を寄せに来るはずだが、、


俺はあの時以来の気まずさが勝ち、七瀬を横切った。


「待って。」


くいっ、


「え、」

七瀬が俺に気づき、足の裾をつまんできた。 七瀬の顔はかなり深刻そうな状態をしており、 さすがにこんな状態の女性を放っておくのは....

そういえば、 幼稚園の時父さんが言ってたな、

“困っている女性は絶対に見放すなと。俺は強張った顔を深呼吸で直し、振り向いた。


 「七瀬、 こんなとこで何やってるんだ。」

 「礼愛君には関係ないこと。」

 「じゃあなんで止めたんだ。」

 「この自転車に乗せてってくれないかな。 足くじいちゃって。」


  よく見ると、足首のくるぶしあたりが赤く腫れていた。


いたしかたない。


 「乗れ、遅刻ギリギリだから飛ばすぞ。」

  「うん。」


と、 恥じらいの目が横目から見えた。 な、なんだよこの目は、、 俺は振られたんだぞ。


紛らわすために自転車を全速力で漕いだ。 信号を待っていると、


「もしかして、気にしてる?」


一瞬ドキッとした。 気にしてないわけねーだろ。 現在進行形で気まずいわ!


「私さ、 礼愛君と友達やめたくない。 また、 前のように戻れないかな。」


戻りたいよ。俺だって、 また友達に戻るために同じ学校を選んだから。でも、いざとなっては胸がドキドキして、 苦しい。


「そのうちな」


俺は一言こう返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

これはリアルな恋物語 @sasakisyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ