サボテンの花

高黄森哉

サボテン


 さち子さんは、サボテンのような人だ。


 サボテンは水をやると枯れてしまう。


 彼女も優しくされると拒んでしまう。


 枯れてしまうことを知っているからだ。


 さち子さんはサボテンだから当然、棘がある。


 でも今の僕には見えない。


 きっと棘が不可視なのだ。


 だから気づかぬ内に皆を刺して、


 傷つけてしまうのだ。


 それか、内側に向かって棘が生えている。


 そのために一人で勝手に傷ついてしまうのだ。


 さち子さんは、サボテンみたいで皆から怖がられている。


 でも僕は知っている。


 サボテンはいつか花を咲かすことを。


 ハルジオンみたいな、一輪の優しい花を。

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サボテンの花 高黄森哉 @kamikawa2001

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