サボテンの花

高黄森哉

サボテン


 さち子さんは、サボテンのような人だ。


 サボテンは水をやると枯れてしまう。


 彼女も優しくされると拒んでしまう。


 枯れてしまうことを知っているからだ。


 さち子さんはサボテンだから当然、棘がある。


 でも今の僕には見えない。


 きっと棘が不可視なのだ。


 だから気づかぬ内に皆を刺して、


 傷つけてしまうのだ。


 それか、内側に向かって棘が生えている。


 そのために一人で勝手に傷ついてしまうのだ。


 さち子さんは、サボテンみたいで皆から怖がられている。


 でも僕は知っている。


 サボテンはいつか花を咲かすことを。


 ハルジオンみたいな、一輪の優しい花を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

サボテンの花 高黄森哉 @kamikawa2001

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説