番外編

「隼人!もー体力ない!死ぬ!死ぬ!」 

 

「おっけー、そっち向かうわ」 

 

「早く!早く!」 

 

俺は村田 隼人 (むらた はやと)

 

どこにでもいる平凡な高校生だ…顔も成績もあまり良くはない、クラスのカーストでいえば下の方だろう…そんな俺でもゲームだけは自信がある 

 

俺の好きなゲームは仲間と協力して魔物を倒す…どこにでもある普通のゲームだ、そしてこのゲームは他のユーザーと一緒にプレイする事が出来る  

 

いつもならソロプレイしかしないんだが学校では一緒にやってくれる友達がいる…


稲見 穂乃果 (いなみ ほのか)明るくて可愛い、クラスの人気者だ…


最初は戸惑ったけど、俺みたいなカースト下位の男にも優しくてすごく良い奴だった 

 

同じゲームが好きなのもあってすぐに仲良くなり、今では学校がある日は毎日一緒にゲームをしている…


「ふーー、危なかった…!ありがとう!!隼人!!」

 

彼女は俺に笑顔を向けてくれた 

 

こんなの惚れない訳がない…俺は穂乃果の事が大好きだ……いずれは告白したい…

 

穂乃果と付き合いたい!デートしたい!キスもしたい!そして…あんな事も……


「ちょっと隼人!聞いてる?!」 

 

「あ…ああ…ごめん」 

 

「もー!あと少しでコイツ倒せるよ!」 

 

「だね…気合い入れますか」 

 

ーーー


「やったーー!!倒した!!」


「ギリギリだったね」


「そーだね!隼人のおかげだよーー!一人じゃ絶対倒せなかった!ありがとーー!!」


「うん、なんでも手伝うからいつでも頼って」 

 

穂乃果のためならなんでも頑張れる…


「まじー!?隼人のそーゆートコ好きだよー!」 

 

「っ…」


す…好きって…今…好きって……!


嬉しすぎてフリーズしてしまった 

 

「じゃー、隼人!次はこれやろ!」 

 

「う、うん…それじゃあ、クエス「穂乃果ー」 

   

「ん!?」

 

 


「え」 

  

 


穂乃果と男がいきなりキスをした 

 

「っぷは……ちょっ…こんなトコでやめてよ!」


「悪ぃ…友達の無茶ぶりでさ、穂乃果にいきなりキスして来いって言われてよ…マジごめん」

 

「はあ……まあ…関路ならいいケドさ…恥ずかしいからみんなの前ではもーやめてね?」 

 

「いやー、まじごめんな………お詫びのちゅーー!」


「もーーー!ww……んっ……」

 

 


俺は目の前の光景を理解出来なかった 

  


「んじゃ、行くわー」 

 

「早く行け!!」 

 

男はすぐに教室から出て行った 

 

「ごめんね?変なの見せつけちゃって…アイツには厳しく言っておくから!」 

 

「……」


「隼人?だいじょーぶ?」 

 

「あ……だい…じょう、ぶです…」


「あ、あはは…ご、ごめんね…さっきのはキモかったよね……今日はここまでにしとこっか…」 

 

「……」 

 

ーーー 

ーー 

ー  

 

「おえっ!オエエッ!!」 

 

なんなんだよアイツ!俺の穂乃果に何してんだよ!クソ!クソ!クソッ! 

 

穂乃果の奴もなんであんな奴にキスされて嬉しそうな顔してんだよ!! 

 

クソッ!クソッ!……う…うう…………


アイツと穂乃果はどんな関係なんだ…恋人…?


いや、違う…穂乃果は今日の朝、友達と彼氏がいないって話をしてた……なら他に何が……明日…聞いてみよう…


もし穂乃果が嫌々アイツと関係持ってるなら俺はどんな事をしてでも穂乃果を守り切ってみせる…


ーーー


「セフレだよー」 


「え?」 


「セフレ」 


「は、はあ?!」 

 

「ちょっと恥ずいケド…隼人は友達だし教えてあげる」 

 

「……」


「チョード一年位前かなー?、友達とセック◯の話になってねー…まさかの私以外みーんな経験済みだったの!」 

 

「だからさ…なんかすごーい恥ずかしくてさ!私もセック◯しなきゃ!と思って当時の彼氏とシよーと思ったんだけど…」 

 

「その日、たまたま関路と友達でカラオケ行こーって話になってたから行ったのね」 

 

「最初は普通に楽しんでたけど、後からセック◯の話になってさ!私がまだ経験ないって事バレちゃってさー…めっちゃ馬鹿にされたの!!」 

 

「ある男が私とシたいって言ってきたから…彼氏とするから!!って断ったんだけど…次に関路が私とシたいって言ってきたの……最初は私も断ったんだよ?浮気はサイテーだし…でもさ関路がどうしても…って言うからさ……」


「シちゃった…」


穂乃果のその言葉は俺に絶望を与えるには十分だった 

 

「そっからハマっちゃって……あはは…」


「当時の彼氏にもバレちゃって…あの時は大変だったよー」


「そっからまた新しい彼氏作ろうーと思ったケド…関路とのセック◯が辞められなくてさーー……ほんと、これがいまの悩みー」 

 

「アイツさー結構気が利くしー、奢ってくれたり相談も乗ってくれるの」  

 

「女たらしってのは分かってるケド……」 

 

「新しい彼氏が出来ても関路と比べちゃってさー、すぐ別れちゃう……はあ…関路…私だけ見てくれないかなーー」 

   



……穂乃果はアイツの事好きなんだ…

 

俺の方がアイツより穂乃果を愛してるのに…


俺なら穂乃果の事を満足させれる筈だ…穂乃果の事は沢山調べた…趣味も合う、好きな食べ物や好きな遊び…全部…わかる 

 

「穂乃果……」


「んー?」 


「俺なら穂乃果の事幸せに出来る…好きだ…付き合おう」 

 

俺は何も考えず告白した………後から何故今ここで告白したんだろうと思ったが自分でもわからなかった 


「え??wえええ?wwいきなりすぎじゃない?w」 

 

「本気だ」


「えーwマジ?」 


「マジ」 

 

「……まあ、隼人の事は嫌いじゃないし…こんなに真剣な顔で告白されたの初めてだし…」


「うん……いいよ…付き合おっか…」



ーーー 

 

「隼人ーー!楽しかった!また行こうね!」 

 

「うん、次はいつデートする?」 

 

「んーー明日!!」 

 

「あはは!俺も明日がいい!」 

 

「決まりーー!」 

 

穂乃果と付き合って二週間…毎日が幸せだ


まだ、たった二週間だが色んな所に遊びに行った…水族館、遊園地…まだまだたくさん…


この幸せがずっと続きますように……


ピコン

 

穂乃果のスマホから通知が鳴った 

 

「誰から?」 

 

「関路ー」 

 

「え」 

 

俺はその名前を聞いた瞬間、背筋が凍った 

 

「あ!…そっか!安心して!私は浮気はしないから!」


「う、うん…信じてるよ」 

 

穂乃果の事は信じてる…でも

 

「あー、みんなで集まって遊ぼーだって!」 

 

「隼人!行きたい!」 

 

うう…俺は嫌だけど…みんなって事は複数人いるし…


「俺も一緒なら…」


「聞いてみるね!」 

  

しばらくすると 


「おっけーだって!」 

 

……不安だけど俺も行けるなら…大丈夫だろ…


ーーー 

ーー 

ー 

 

全然楽しくない……目的地に着いた瞬間馬鹿にされた…釣り合わないって……だけど穂乃果は庇ってくれた 

  

関路の顔を見た…少しニヤついていた……俺はその表情に凍りついた…

 


色々やってると空が暗くなってきた……すると 

 

「よーし…飲むべ!!」 

 

「だな」 

 

「うん!」 

  

派手な服を着た男が袋から酒を取り出した 

 

「お前も飲めよ?」 

 

「いや…俺は…」


未成年飲酒は駄目だ、絶対 

 

「隼人ーノリ悪いよーー、飲もーよ」 

 

「わかった」 

 

穂乃果に言われたら俺はなんでもやる 

 

そこから記憶が曖昧だ……うっすらとだがかなり飲まされたと思う…

 

「ん…んん」


目が覚めたら一緒に飲んだ連中が横たわっていた…


はっ…穂乃果は?! 

 

辺りを見渡すが穂乃果の姿は見当たらない 

 

そして気付いた…アイツの姿も…ない! 

  


俺は無我夢中で穂乃果を探した 

 

 

穂乃果……穂乃果、穂乃果!! 

 

「わっ!」 

  

誰かにぶつかった 


「痛ったー…ちょっと隼人!」 

 

穂乃果だった…


周りを見渡す…アイツの姿はない!……良かった…本当に良かった! 

 

その後は何も無く解散した…俺は何も無く無事に終えられてホッとした…今まで穂乃果の言う事はなんでも聞く様にしてたが、もう無理だ……駄目ってしっかり言おう…そう心に決めた 

  

ーーー 

 

穂乃果がデートを断る様になった……しかも前より笑顔が減った……付き合って一ヶ月目で…

 

なんで…なんで…なんで!駄目だ!無理だ!俺は穂乃果に問い詰める事にした

 

「どうしてだ!」 

 

「ちょ…怖いよ…どーしたの?いきなり…」


俺は最近の変化について、説明した 

 

「…………」


「穂乃果!!」 

 

「……ごめん…」


「説明しろよ!!」 

 

「私らさ……別れよ?」 

 

は?………何言ってんだ、この女!

 

「なんで!?なんで??なんでっ!!」 

 

「隼人…付き合ってから色々、重いよ…なんか変わりすぎ」

 

「直す…直す…直すから!」 

 

「ごめん…無理」 

  


……穂乃果がいなくなるならもういいや 

 

「えっ…隼………人っ…や…め……て……」


俺は穂乃果の首を絞めていた 

 

「………」


「はっ……や……」


穂乃果は顔が歪んでてもかわいい……あはは 

 

「お、おいおい!」 

 

いきなり穂乃果の首を絞めていた両手を凄い力で引き剥がされた 

 

そこに現れたのは……アイツだった 

 

「っゲホッ……ゲホッ…関…路…助けて!」 

 

「え!何々…お前ら付き合ってたんじゃないの?」 

 

「もう違う!助けて!殺されちゃうよお!」 

 

穂乃果がアイツに抱きついてる……やっぱり…やっぱり浮気してたんだなあああああ!! 

 

「やっぱりソイツと浮気してたんだな!!だから別れようと!!」 

 

「へっ?!いや…いつもなら否定はしないけど今回はマジで俺は何もしてない!」 

  

「うがああああああ!!」 

 

俺は二人に飛びかかった……


ーーー 

ーー 

 

病院で目が覚めた…


どうやら一日中寝てたらしい…しばらくすると親が病室入って来た 

 

親に引っ越しする事なったと伝えられた…理由は教えてくれなかった 

 

穂乃果の事も聞いた…聞いた瞬間睨まれた 

 

次になんで病室に居るかを聞いた…どうやら頭を強く打ったらしい 

 

その後退院しても学校には行かせてもらう事は出来なかった 

俺は今…違う学校に通っている…穂乃果どうしてるのかな…


あの時の俺はどうかしてた…あんな事やってたら嫌われるのは当然だ 

 

スマホにある穂乃果の画像やメッセージのやり取りを見る……本当に幸せだったな…全部、俺が壊した……


 


また……やり直し……はは…無理か 

 

  



もう……………いいよな……

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都合のいい女達 ぱぴぷ @papipupeo

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