終わりに


 物語というのは必ずエンディングの時が訪れる。この三年間は指輪物語の登場人物になったようだった。まるで中つ国を旅したような気分だ。

 今でも数多くの問題がある。それでも人間は前へ進み続ける。あらゆる手段を使って進歩していく。かつてペストやスペイン風邪の時にも人間は乗り越えていった。これからも人間は試されるのだろう。

 生き延びた人間には命ある限り生きる義務がある。そうやって多くの人に語り継ぎ、次の戦争への準備をさせるしか方法がないのだ。

 最初に書いた通り、二度とこんな経験はしたくない。だが、生きている限り、悲しみからは逃げられない。それを乗り越えるしかないのだ。2019年までの私はどこかで甘えていた。そんな人間に生きる大切さを教えてくれたのもこの三年間だ。

 私は生きる。生き続ける。この命ある限り。明日からまた新しい日々が始まる。それをどう生きるかはその人次第。生きることは楽しい。それが分かるだけ、今の私は幸せだ。





                                    〈了〉 

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苦難の三年間 —私がコロナ禍で体験したこと― @spaceblue

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