傷つけないで 🏝️

上月くるを

傷つけないで 🏝️





 たびたび句会の話で恐縮ですが、新人にとってはカルチャーショックでしたので、ついつい失敗譚をお披露目したくなりまして、ほんまにご退屈さまどすえ~。(^-^;


 入会二年目ぐらいでしたでしょうか、ある秋の日の句会でピラカンサを季語にした拙句を投句したところ、先輩諸氏からいっせいに「季語じゃない!!」の大合唱。💦


 え? たしか歳時記にあったはずだけどと思いながらも例の「す、すみません」。

 で、あとで確認してみると、最新版にあるものが旧版には載っていませんでした。


 かように歳時記も少しずつ変化しているようですので、使いこんで愛着のあるものを大事にするとともに、たまには新版に目を通してみることも必要かも知れません。




      🥤




 ところで、南天に似て赤い実をつけるピラカンサの名称は、俳句を始めてから知りました。その花ことばが「傷つけないで」というナイーヴなものであることも……。


 じつはヨウコさん、自分の書く文章にそのフレーズを使うことを諫めて来ました。セクハラを承知で言えば、どことなく女々しいナルシシズムがあるような気がして。


 ところが、ある先達の小説を拝読して(すっかり忘れていますが、たぶん再読)、明治期から盛んに使われていたことを知り、なあんだと肩の力が抜けた次第です。


 初夏に真白で可憐な小花を咲かせる植物の花ことばが一風変わって見えるのは動詞が入っているからかも知れませんが、常磐山査子トキワサンザシの和名でなんとなく納得です。🤗




      ⛈️




 幹や枝に棘があることからギリシャ語のピル(炎)&アカンサ(刺)の意味があるそうで、若い実は毒を含むと承知している 🐦 族はよく熟してから啄みに来るとか。


 朝ドラ『らんまん』の牧野富太郎博士のノアザミ節になぞらえれば、吹きさらしの野外で冬を越す身を守るため、あんなに堅いトゲトゲになったのかも知れませんね。



 ――明け方に引けし子の熱ピラカンサ     上野一孝

   ピラカンサ祈ることばのひとつづつ    小山 遥



 やはり若い季語は馴染みがないのでしょうか、歳時記の例句は二句しか掲載されていません。ちなみにヨウコさんの句は本人も忘れてしまうほどの凡句でした。(笑)




      🦖




 ただし、このことは新人の礼節として、きっちり明記しておかねばなりますまい。

 約二百回の句会で先輩諸賢から賜った辛口鑑賞こそヨウコの研磨剤 であると。 ✨




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