17 LGBTQ+を取り巻く人びと【プライド月間企画】(後期)

企画名:LGBTQ+を取り巻く人びと【プライド月間企画】

概要:https://kakuyomu.jp/user_events/16818622177300057952

開催期間:2025/6/16〜6/30

参加作品数:10(終了時点)


 6月はレインボープライド月間。性的マイノリティーの人びとの権利を啓発する活動が行われる時期ということで、そこに着目した作品のプレゼンスを出してみたいなと3年前から定期的に企画を立てています。


 これまでは当事者目線でのリアリティ――直面する出来事や、世界の感じ方、とらえ方など――を表現した作品を募集していましたが、今回は「当事者の周囲にいる人びと」に焦点を当ててみることにしました。


 企画に目を留め、ご参加してくださった皆様には感謝申し上げます。


■参加作品リスト

https://kakuyomu.jp/user_events/16818622177300057952?order=published_at#enteredWorks

各作品のキャッチコピー、あらすじ、タグなどはこちらからご覧ください。


――――――――――

凡例

#参加順

作品名/作者名

作品URL

――――――――――


気まぐれに一言感想がついている場合があります。


#1

〈短歌連作〉A、愛になら忙しい/佐斗ナサト

https://kakuyomu.jp/works/16818622174667978984

(一言)

緑と紫は、真ん中に白を挟むとQueerフラッグになりますね。


#2

『わたしのままで、触れていい』/哀原勝喜

https://kakuyomu.jp/works/16818622176244074498

(一言)

前期に続き、再参加です。ありがとうございます!


#3

トランスジェンダー アキラ ~「陸女」スピンオフ~/@nakamayu7

https://kakuyomu.jp/works/16818093080191498021


#4

ラーヴン ゴーム ビオニフテ──蜘蛛の島風声──/鹿紙 路

https://kakuyomu.jp/works/16818093089973389533


#5

ミスティック・マジック・アンド・ジュエリー ~彼女は嫌々僕と組む~/弧川ふき

https://kakuyomu.jp/works/16818622177148730774

(一言)

何だかこう、主人公……がんばれ!と応援したい感じ。

VRMMOをあえてリアルのゲーム操作演出を挟みながら描写するのはユニーク。


#6

ふうふ見ず知らず/八沢りゅう

https://kakuyomu.jp/works/16818093075526017582

(一言)

続きがないのがもったいないですが、続けると(読者の圧などで)異性愛規範のゴールに収束しかねないのでこれはこれで良いのかも。


#7

子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜/種・zingibercolor

https://kakuyomu.jp/works/16817139555138453871

(一言)

セクシャリティの定義が私の知ってるものとは異なるようですが、それはそれとして世間向けのラブコメとしては楽しそうな要素が見えるのでよろしいのでは。


#8

神田川ナツコの霊障/有馬千年

https://kakuyomu.jp/works/16818093090954757336

(一言)

ゲイバーの説明が何気に解像度高い。

あと「艶情」という言葉のチョイスにセンスを感じます。


#9

サクラに狂わされる/野々宮 可憐

https://kakuyomu.jp/works/16818093078627419717

(一言)

昨年に続き、再参加です。ありがとうございます!


#10

二人のママ/Hugo Kirara3500

https://kakuyomu.jp/works/16818792435389711558



■所感

 この企画はだいたい、月の後半は前半に比べてひっそりしがちです。6月に入ると早々に界隈でレインボー月間アピールがなされるので最初は意識されますが、後半になると「まだやってんのかよ」という目で見られているのでは……と勝手に気にしてしまいます。

 それでも、正にこのテーマで書いたのだ、という作品に出会えればと開催を続けています。


 少し別の話をしますが、ある知人が突発的な症状により以後の生涯は半身麻痺となったのですが、はじめの数年はずっと「何のばちが当たったのか」「他の者のばちの身代わりになったのか」と言っていました。

 また別の知人は、幻聴や頭痛に時折見舞われ、それを霊障と信じていました。

 ちょっとした地震があるたびに、珍しい形の雲の報告をSNSで探しては「やっぱりね」と言う人もいました。

 私自身、震災が起きて間もない地域を夜間に歩いていて、津波でだめになった車が積み上がっている自動車整備工場の脇を通りかかったときにいきなりつまずいて足をくじき、数日腫れが引かなかったことがあり、「夜に歩けばそりゃ引っ張られるよねえ」と思ったものです。


 何の話かと言うと、人は誰しも理不尽や理解できないこと、理由のないことに遭遇したとき、納得のいく理屈を探さずにいられないということです。「納得がいく」ことが重要であり、科学的な説明やましてや「偶然」では到底受け入れられません。そこで「こういうことなら受け入れられる」と納得いくように世界を再解釈します。そうなると、傍にいる者はその解釈を全力否定するわけにもいきません。物理学より心霊学に基づいて考えたほうが生きやすくなるならそうさせておくしかない、と思います。


 マイノリティに対するマジョリティの態度にも似たものを感じることがあります。「マイノリティの生々しい話は理解しがたいが、こう解釈するなら受け入れてもいい」と再解釈してマイノリティの姿を変容させ、それを目にしたマジョリティのギャラリーが「それならわかる」と絶賛する、そんな図式。

 これまで数回開催した企画の参加作品の中には、そういう風に再解釈されたマイノリティが登場するものも散見されました。全くモヤモヤしないと言えば嘘になりますが、しかしそれらの作品を批判するべきでもないと思うようになりました。

 6月中に浅原ナオト氏の『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を読了したのですが、クライマックスでヒロインが皆に訴える言葉もまた、彼女にとって都合よく再解釈されたものに私には見えました。けれども、その言葉は彼女が主人公を一生懸命理解しようと努力した末に出てきたものです。精一杯歩み寄ろうとした結果であるなら、その再解釈が微妙であってもそこは些末であり、それで適切な関係性が築けるならそれでもう良いのでしょう。


 マイノリティの心からの叫びの9割をスルーしても、1割だけは受け止めてもらえるならハッピーかもしれない。


 んん、何だか私、すごく気難しい人みたいに見えますね! ごめんなさい。


 改めまして、この企画に参加ボタンを押してくださった皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。

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