主催した自主企画 2025年

16 LGBTQ+を取り巻く人びと【プライド月間企画】(前期)

企画名:LGBTQ+を取り巻く人びと【プライド月間企画】

概要:https://kakuyomu.jp/user_events/16818622176264882045

開催期間:2025/6/1〜6/15

参加作品数:15(終了時点)


 9ヶ月ぶりの自主企画です。


 6月はレインボープライド月間。性的マイノリティーの人びとの権利を啓発する活動が行われる時期ということで、そこに着目した作品のプレゼンスを出してみたいなと3年前から定期的に企画を立てています。


 これまでは当事者目線でのリアリティ――直面する出来事や、世界の感じ方、とらえ方など――を表現した作品を募集していましたが、今回は「当事者の周囲にいる人びと」に焦点を当ててみることにしました。


 企画に目を留め、ご参加してくださった皆様には感謝申し上げます。


■参加作品リスト

https://kakuyomu.jp/user_events/16818622176264882045?order=published_at#enteredWorks

各作品のキャッチコピー、あらすじ、タグなどはこちらからご覧ください。


――――――――――

凡例

#参加順

作品名/作者名

作品URL

――――――――――


気まぐれに一言感想がついている場合があります。


#1

桃太郎をやりたかった/SB亭moya

https://kakuyomu.jp/works/16818622175952173956

(一言感想)

真に耳を傾けるべき当事者不在のまんま、どっちもどっち。いや、広義には彼らも当事者なんですが。


#2

青梅ヶ原クウの非日常〜天岩戸編〜/矢庭竜

https://kakuyomu.jp/works/16818622171243589104

(一言感想)

同性と同棲してるなんて、職業や居住地を伝えるのと同じくらい大したことのないただの情報。そんな風に描かれるのは一つの理想。


#3

MISSING:探偵サム・マクニールの事件簿/烏丸千弦

https://kakuyomu.jp/works/16818093081979716498

(一言感想)

70年代末のサンフランシスコが舞台。合衆国ではゲイとして初めて議員になったハーヴェイ・ミルクの暗殺事件やその後の裁判の余波など、当時のシスコならではの空気感を垣間見ることができる。

サスペンスとしても極上でおすすめ。(飯テロ注意)


#4

『わたしのままで、触れていい』/哀原勝喜

https://kakuyomu.jp/works/16818622176244074498

(一言感想)

いつ、だれに、どのように、自分の心や躰を開くのか、それは自分で決めたいことなのに世間や他者が侵食してくる。自分のありようを肯定してくれる人に出会えるのはどれほど救われることか。


#5

異世界サックス!元男子の美少女ジャズ奏者の揺れる乙女心 魔法と音楽の男女入れ替わりファンタジー/卯月らいな

https://kakuyomu.jp/works/16818093083188630929

(一言感想)

ラジオドラマを意識したような文体。


#6

ボクは初恋の男の子にメイクをする/takemura yu

https://kakuyomu.jp/works/16818622175113434571

(一言感想)

なりたいものになれないことに傷つきながらも、なんとか今日を生きていく登場人物たち。


#7

BL作家薔薇色、執筆中/亜咲加奈

https://kakuyomu.jp/works/16818093092107538402

(一言感想)

少女漫画のコメディの雰囲気を少し纏いつつ、優しく思いやりに溢れた世界観。


#8

一方通行の親友/ゆ〜 (。-ω-)zzz...お休み中

https://kakuyomu.jp/works/16817330667660477796

(一言感想)

一方は恋心。一方は友情。どちらも、相手から等価のものを返してもらうことは望めない。切ない。


#9

ふたり乗り/下東 良雄

https://kakuyomu.jp/works/16818093076166951894

(一言感想)

好きという気持ちに名前をつけてしまう前に、立ち止まって考えてみよう。

相手が異性だったときも同じアドバイスだろうかという非対称性は気になる。


#10

ライオンガール/たらこ飴

https://kakuyomu.jp/works/16817330667214238800

(一言感想)

期間内には序盤数話しか読めませんでしたが、良質なロードムービーの予感。


#11

『手をつなぐ』/ヒニヨル

https://kakuyomu.jp/works/16817330663975964632

(一言感想)

キャッチコピーほどにはハッキリした話にはならなかった印象。とりあえず密なボディタッチは令和ならもうアウトよねえ。


#12

おとうと/柊圭介

https://kakuyomu.jp/works/16817330650675551877

(一言感想)

兄はいつも理不尽に責められ、それでも弟を赦す。兄の年の功と弟家族の脆さとが対比される。


#13

息子の彼氏/zon

https://kakuyomu.jp/works/16818622176510638087

(一言感想)

逆縁になってしまった息子の思いがけない人間関係。AI支援作品でしょうか。


#14

由美の結婚/縦縞ヨリ

https://kakuyomu.jp/works/16818093078340883700

(一言感想)

察しつつも黙って子の成長と自立を見守る母親。語りが淡々としているため、内面の熱さの解像度は読者自身の経験値に依存するかもしれない。


#15

『あたたかい無音』/rinna

https://kakuyomu.jp/works/16818622175923273520

(一言感想)

人は社会的生物だから、他者によって自己の輪郭が形作られる。他人や世間が勝手に定義する器を取り払い、限りなく澄んだ水のような自我を得た主人公。


#16

「告白します。自分は―。」/N

https://kakuyomu.jp/works/16818622176866742704

(一言感想)

私小説のように綴られた物語。ただ静かに受け止めたい。



■所感

 昨年までは、LGBTQ+に属する登場人物の視点で書かれた作品を募集していたのですが、LGBTQ+側の肌感覚はよく表現されている一方、その周囲の人びとの反応がもっと書き込まれたものも読みたいと思うようになりました。

 敵役としてわかりやすく攻撃してきたり、味方としてあっさりと全力で受け入れたりというのはやはりフィクションで、現実にはもっと戸惑いや葛藤があり、自分の常識を再点検する必要に迫られたりということがあるのではないか。できればアライ(マイノリティを理解し支援する人)としてロールモデルとなるような、そんな人物が登場するお話があればいいなと。

 とは言え、専門用語を使うと敷居が高くなってしまうので、そこまでは求めないことにしました。

 結果として、「マジョリティ視点だとこう見えるんだ」という素直な価値観を垣間見たりして微笑ましくもあり苦笑いもあり……総じて面白かったです。


 また、マイノリティ視点での作品も多くご参加いただきました。企画タイトルは「取り巻く人びと」ですが、当事者視点もウェルカムです。

 これらの作品に特徴的だったのが、まるで私小説のように(本当に私小説なのかはわかりません)静かに、あるいは訥々と語りかけてくるものが多かったことです。


 誰にも言えない秘密を、でも誰かに打ち明けてわかってもらいたい。周りの人に知られるわけにはいかないから、匿名でなら、見ず知らずの相手になら言えるかもしれない。そんな思いで筆を執ったかのように。

 私たちはただ、雑踏の中で呟きを拾うように彼ら彼女らの言葉を受け取るだけでいいのかもしれません。一瞬後には具体的なことは忘れてもいいから、誰かがいたんだということは覚えておきたい。何よりそれが大切だから。


 いくつかの作品では、異性愛や同性愛以前に、さらに稀少な性愛や恋愛感情を持たないアセクシャル/アロマンティックであるゆえに「人は恋愛やセックスをするもの」という世間の圧に苦しんでいたり、それをするのかどうかの自己決定権を奪われたことに傷ついていたり。

 そんな主人公たちが模索の末にどんな答えにたどり着いたのか、ぜひ各作品を訪問して見届けていただければと思います。


 もしも私が、世間の常識と違う自分に気づき孤独感に苛まれていた時期にこれらの作品に出会っていたら、どれだけ有り難かったか知れません。

 独りではないことに安堵し、彼女らを参考に自分なりの答えを考えることができたでしょう。

 だからこれらの作品はとても価値のある作品です。その作品を書いていただいたこと、企画に参加することで誰かに届けようとしたことに感謝いたします。


 改めて、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

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