殺された少女の霊が見守る、両親の悲嘆。隣人の棺に入れたものとは?

この作品は「死と罪」、「許しと愛」というテーマを深く掘り下げており、切なくて悲しい話なのに、感動的で心を揺さぶられました。

作者は、少女の霊と両親の心の橋渡しを上手に描いています。少女の霊は、両親の悲しみを和らげるために、自分の死を受け入れていますが、同時に隣人に対する怒りも持っています。
両親は、少女の願いを叶えることで、少女との繋がりを保とうとしますが、それがかえって少女の霊を縛ってしまうことに気づきません。   
エンディングに、少女が隣人の棺に入れたものと、隣人の柱時計の音が、少女の死と隣人の罪の象徴として響きます。読んでいて胸が痛くなりましたが、同時に少女の霊の強さと優しさに感動しました。この作品は、素晴らしい力作だと思います。

その他のおすすめレビュー

神崎 小太郎さんの他のおすすめレビュー1,474