エピローグ
私は夢を見ていました。
それは、こんな夢でした。
私は雲の上にいました。
その雲の上は穏やかな光に包まれて、とても居心地が良いのです。
私はとても幸せな気持ちでいました。
そして下界を見ていました。
下界には沢山の人がいました。
苦しく生きている人もいれば、とても人生を楽しんでいる人もいました。
私はそこで一人の女性を見つけたのです。
その女性はとても寂しそうでした。
何かとても悩んでいる様子でした。
私はその女性を見ていました。
そこで思ったのです。
「私はこの女性の話し相手になろう」と。
そう思った瞬間、私は真っ暗闇の空間に入ったようでした。
しばらくその真っ暗な空間にいました。
私はとても怖くなりました。
そう思っていた時でした。
いきなりまばゆい光が私をおおいました。
私は真っ暗なトンネルを抜けたのです。
そのトンネルを抜けると沢山の人が私を見ていました。
その人たちは私の知らない人ばかりでした。
私はとても怖くなって泣きました。
そこで目が覚めました。
私は今、この夢の意味が分かったのです。
この夢は私が母の胎内から生まれてくる時の記憶だったのです。
私は阿部かおりが前世の記憶だと言っていたことを思い出しました。
私はベッドから這い出るとキッチンへ行きコーヒーを入れました。
そして、コーヒーを飲みながら今見た夢のことを考えていました。
そういえば、精霊のハルーンはこうも言っていました。
「あなた達は生まれてくるときその相手も選んでくるのだ」だと。
その話が本当ならば、私たちは生まれてくる前に自分の親になる人を決めて生まれてくることになるのではないだろうか。
私は、今は亡き母のことを思い出していました。
母の最期を看取るのも自分が決めてきたことではなかったのだろうか。
私は父と母から望まれて、望まれて生まれてきたのです。
母は自分の最期を最も望んだ子供である私に看取ってもらいたくてそれをシナリオとして書いてきたのではないかと私は思ったのです。
私は最近ある本と出逢いました
「前世療法」という本です。
そこには前世に戻り、今抱えている精神疾患を治療でき、生まれ変わりはグループでも行われるとも書いてあったのです。
そして、私たちは生まれてくる前に自分の人生のシナリオを書いて生まれてくるとも書かれてありました。
その本の中にはやはり精霊が出てくるのです。
その精霊がメッセージをくれるのです。
ハルーンみたいな存在が他にもいるのだな、と私は思いました。
人生のシナリオ…。
もし、本当に自分の人生は自分が書いてきたシナリオ通りだとしたら、この先の未来を心配しなくて良いのではないかと私は思いました。
全て自分で決めてきたことなのですから。
全てを自然に任せてしまえば良いのではないかと感じたのです。
「全てのこれから起こる出来事を受け入れよ。そして自分も他人も許せ」とハルーンは私に言いました。
その通りにしようと私は思いました。
和也、健、春樹との過去生で私は自分を責め自殺まで図った身でした。
現世では自分や相手を責めるようなことはやめようと思ったのです。
人間の幸せとはなんだろうか、と感じました。
生まれてきた意味とはなにかと思いました。
確かに過去生の出来事もある意味大切かも知れませんが、やはり今をどう生きるのかが一番大切なのではないかと私は感じたのです。
念という文字があります。
今の心と書きます。
今を生きるとは念を入れて生きる事なのかもしれません。
大切なのは今この時なのです。
私はそのことに気づきました。
そして、現世では人生を楽しもうと決めたのです。
今の私が考えられる人間の幸せや、生まれてきた意味とは人生を楽しむためではないかと思ったのです。
私は過去生ではあまり人生を楽しんできていなかったと思いました。
時代も時代でした。
それも仕方がないことかもしれません。
でも現世ではそれは十分に叶うことかもしれないとも思ったのです。
私は今でもあのまばゆい暖かで優しく慈愛に満ちた光を感じるのです。
その光はもしかしたら、私たちがやがてゆく世界の導きの光かもしれません。
そのまばゆい光が導くその時まで、私は人生を楽しもうと決めたのでした。
そして、また新しい出逢いに恵まれたのです。
今、私は恋をしています。
どんなシナリオを書いてきたのか、これからが楽しみです。
人生とは幸せそのものなのです。
おわり。
輪廻転生 おりさくみづき @orisaku
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