カエルがかわいい!

 隕石の落下によよって環境の激変した世界、なにやら変わったカエルを拾ってしまった、とある小さな姉妹のお話。

 ふんわりした空気感が魅力のSF掌編、あるいは、童話のようなお話です。

 隕石の落下の影響によって、水面(とは厳密には違うものの、そのようなもの)の下に沈んでしまった街で生活する人々。
 ここだけ見るとかなり終末感溢れる災害が発生しているのですけれど、どうもみんな意外と普通に適応しているというか、終始ほのぼのした空気なのがたまりません。
 牧歌的というかなんというか、どこか澄み切った優しい世界の手触り。

 中でも一番の魅力はなんといってもカエル!
 冒頭で姉妹が拾う生き物で、厳密にはカエルとは違うっぽいのですけれど、もう最初から最後までずっと可愛くって……。

 このカエルさん、真面目というか結構怖いことを言っている気もしますし、なによりそれを受けた主人公もその辺ちゃんと考えるんですけど、にもかかわらず怖い話や重い話にならないところがもう本当に大好き。

 読み心地といい世界の優しい雰囲気といい、とにかくホッとする手触りの作品でした。