という感情の置き場を、どこに求めたらいいのだろう。綺麗な家族像が語られるたびにそのように思う方には、きっとささります。突拍子のない展開ではあるのは否めないのですが、この物語にはそれがふさわしかったと心から思います。ラストも秀逸。自分にまでごまかした思いは、そもそも本物でなくなっているのですから。
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この作品は凄まじい。凄まじいまでに感情の解像度を誇る。家族を、親族を一度でも疎ましいと思ったことのある人には、間違いなく刺さること請け合いの一作である。さらに凄まじいのは家族に対する憂鬱さを、一切の過激な表現なく描いて見せているところだ。むしろ、描写は淡く、美しい。それだけに家族に対する憂鬱さが一層際立つのだ。このような作品には商業作品を含め、滅多に出会えないだろう。鬼才の名を冠するにふさわしい作品だ。