第49話 誘拐事件 (マリン視点)


 『ママ、さっきのおじちゃん凄かったなの。マリン、ちゃんとお礼したいなの』


 私が川に落ちたのを、カッコよく助けてくれたおじちゃん……素敵なの。


 『そうねマリン……ママもそう思うは。パパに頼んでみようね』


 『はいなの!早速行くの!』


 パパはいつも忙しいから、早く行かないといなくなっちゃうの。


 私はママの手を引いて、パパの部屋まで走りに走ったの。


 『パパー!マリンなの!入るのよ!』

 

 私はパパの部屋に突撃するの。

 すると目を輝かせたパパがマリンを抱っこしてくれるの!


 『おおー!マリン!お着替えは終わったのかな?だめだよママから離れて、勝手な事をしたら。もうしないってパパと約束出来るかな?』


 『はいなの……約束するの。パパ…ごめんなさいなの…』

 『い、いいんだよマリンちゃん!パパは別に怒ってる訳じゃないからね!はい笑ってー』

 『うふふ…パパ、変な顔なの。あっ!そうだパパ!私、おじちゃんにお礼したいの!どうにかできる?』

 『お、おじちゃん?おじちゃんって誰かなマリンちゃん?』


 もう!おじちゃんはおじちゃんなの!

 どうして分からないなの!


 『あなた…黒仮面卿が助けてくれたのよ。マリンは黒仮面卿にお礼を言いたいそうなの』


 黒仮面卿……?おじちゃんは黒仮面卿っていうのね。マリン覚えたの!


 『そうか……黒仮面卿が…。分かったよマリンちゃん!パパが何とかしてみせるからね!』

 『きゃー!流石はパパなの!大好きなの!』


 うふふ…これでパパはマリンにメロメロなの!

 もう魂が抜けた様になってるのよ!うふふ!



 ♦︎



 それからパパはすぐにお仕事に行ってしまったの。


 パパが帰ってきたらみんなで買い物に行くのだけれど、それまで暇なの。


 だからマリンは恐い顔をしたパパの部下に、公園に行っていいかおねだりするの。


 顔は怖いけどみんなマリンに優しいのよ?本当なのよ?


 『ねぇねぇゴリル、マリンちゃん公園に行きたいの…。連れてってくれる?』

 『お、お嬢様…旦那様に怒られてしまいますよ?』

 『ふん!ゴリルはもういいの!ねぇオラン…ダメかしらなの?』

 『た、ただいま奥様に聞いてきます!ゴリル!ウータン!テナガ!チンパ!お嬢様から目を離すなよ!』


 流石はオランなの!これが模範解答なのよ?

 ゴリルはまだまだなの!


 それからオランはすぐに戻ってきたの。

 手でokサインを作ってるから、ママの許可がおりたのね。


 『お嬢様!少しの時間なら良いと、奥様がおっしゃってました!早速行かれますか?』


 『もちろんなの!さあ、時間がないのよ!ゴリル!私をおんぶして走るのよ!さぁ、行くの!』


 ゴリルは力持ちだから、小さい私をヒョイと持ち上げてしまうの。


 でも足が遅いのがダメなの。

 でも今は機嫌が良いから何も言わないであげるの!感謝するのよゴリル。


 公園に着いた私は、全力で遊んだの!

 

 チンパは足が速いから鬼ごっこをしても、すぐに捕まっちゃうの!

 手加減して欲しいのよ!もう!


 一通りの遊びをしたら喉が渇いたの、だからウータンに飲み物を頼んだのよ。


 『ありがとうウータン、ゴクゴク……あー!水が美味しいの!あ、あれ?ウータン?急に倒れてどうしたなの?大丈夫なの?』


 あれ?ゴリルもなの?オランも?チンパ、テナガもみんなどうしたなの?


 『お、お嬢様……逃げ‥て』


 ひっ!知らないおじさん達がいるの!お、オラン!助け……!


 私は変な布を口に当てられて気を失ってしまったの。


 『パパ…ママ…みんな…ごめん…なさいな……の…』



 『任務完了だ。すぐ撤退するぞ』

 『ああ、車を用意してある。それで拠点まで行く』




♦︎





 あ、あれ?私、いつのまにか眠ってたなの?

 ふぁぁー!オラン、お腹が空いたなの…よ。


 『……ここは、何処なの?ママ?パパ?ゴリル!オラン!誰かいないなのー!』


 『うるせぇ!静かにしねぇか!』


 ひっ!だ、誰なの…恐い、恐いよ……。


 『いいか、ガキンチョ!今、お前のパパにお金を払うように言ってるからよ、大人しくしとけや』

 『お前のパパがちゃんと払ってくれるといいでちゅねー。じゃないとこの世からさよならしないとダメでちゅからねー』


 顔をマスクで隠したおじさん達が脅してくるの。

 ヒ、ヒック…ヒック……。マリンは泣かないの。

 きっとパパが助けてくれるのよ…うぅ…でも恐いよー。


 黒仮面卿のおじちゃん……また、助けてくれないかなぁ。


 『オラ!お前のパパに助けてって言えや!時間がないってな!』


 男の一人がマリンに電話を渡してきたの。

 パパ…パパと話せるの?


 『パ、パパ!マリン…マリン…ごめんなさいなのー!』

 『マ、マリンか!無事なのか!絶対助けてやるからな!大人しく待っていなさい!ああ、マリン……!』

 『パパ…、ゴリルもオランとテナガもウータンもチンパも……みんな…みんな…うえーん!』


 『はい、お終いでーす。パパさーん!早くしないともう娘さんと話せなくなるよー?いいの?』

 『タイムリミットはあと30分だ。それ以上は待てん。覚悟するんだな』


 『ま、待て!30分は短すぎる!魔道具は持ち主の許可を取らねば…』


 ところが、恐いおじちゃんは途中で電話を切ってしまったの。

 

 『はい、切っちゃいましたー。ねぇねぇ、ボスー。もう無理そうだし、切り刻んでもいいっしょ?』

 『落ち着け、まだダメに決まったんだろ。そろそろ表の見張りと交代して来い。後、あの組織から借りた二人はなにしてる?』

 『えー?ダリィっすね。あの二人ならずっと武器の手入れっすよ。頭おかしいっすわ』


 あの二人って誰なの?もしかしてみんなをやっつけちゃった二人なの?なら絶対許さないの!


 『ボ、ボス!侵入者です!早く逃げて下さい!』


 突然、知らないおじちゃんが慌てて入って来たの。


 一体どうしたんだろ。


 『侵入者だと!?誰だ!警魔隊か!?何人来たんだ!?』

 『警魔隊じゃねぇっす!変な仮面をした野郎が、一人っす!』

 『変な仮面だぁ?て、てめぇ!そりゃ黒仮面卿じゃねぇだろうな!こりゃやべぇ!何故ここがバレた!』


 黒仮面…?今、黒仮面卿って言ったの?

 

 キャー!マリンはここよ!黒仮面卿のおじちゃん!マリンはここにいるなの!


 マリンが興奮していたら、恐いおじちゃんに捕まってしまったの。

 

 『い、嫌なの!離してなの!おじちゃーん!マリンはここよー!』

 

 『うるせぇ!黙ってろガキが!』


 うう、痛いの…おじちゃん早く来てなの…。


 すると、段々と声が騒がしくなって来たの。

 

 悪いおじちゃん達のやっつけられる声がするの!

 そしてついに…ついに…!



 「貴様等…!子供から手を離せ!我輩が来たのだから、観念するのである!』




 キャー!おじちゃーーん!



 黒仮面のおじちゃんはそれから悪者をバッタバッタカマキリとなぎたおしてしまったの!


 安心したら、オラン達の事を思い出して泣いてしまったの……。


 でも、黒仮面のおじちゃんがちゃんとお別れしないとダメって言ったの。


 だからマリンちゃんとお別れするの!


 それからおじちゃんに抱っこされながら外にでたら、車がバァーって来たの!


 それから人がいっぱいおりてきたの!

 きっと、パパかカースおじ様の部下なのね!


 でも、部下の一人が黒仮面のおじちゃんを捕まえようとしたの!これにはマリンもプンプンなのよ!


 マリンが怒ろうとしたら、後ろからカースおじ様が来て追い払ってくれたのよ!


 流石おじ様なの!


 それから黒仮面のおじちゃんとカースおじ様のお話が始まったの。


 このお話が終わったら、黒仮面のおじちゃんは帰っちゃうのかなぁ?


 やだなぁ……マリン寂しいの。


そして、長いお話しがおわって、黒仮面のおじちゃんが空を飛んで、帰ろうとしているの!


 ま、待って!まだ、お礼し足りないの!


 『ま、待ってなのー!黒仮面のおじちゃーん!また会えるなのー!?』


 「勿論なのである!でも、マリンちゃんがいい子にしてればの話であるぞー!」


 空高くから黒仮面のおじちゃんがそう叫んだの!


 分かったなの!マリン、これからもいい子にするの!


 


 おっきくなったら、黒仮面のおじちゃんと結婚するんだからなの!


 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界ヒーロー戦記 一日一話 @ogre0921

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ