付き合った彼女がすぐ死んだ

付き合った彼女がすぐ死んだ

　みのりちゃんはみんなに人気のある子で、だから僕はダメ元で告白したんだけどなんでだか彼女は恥ずかしそうにはにかんで「わたしもノブくんのこと好きなの」と言ってくれたから僕達は付き合うことになり、何しようかなデートってよくわかんないなでもまだ中学生だからあんまり遠くに遊びに行けないよな朝か放課後は一緒に帰っていいかなあっテスト勉強一緒にできるじゃん僕の得意な理科とみのりちゃんの得意な国語を交換して教え合えたらいいな、でもやっぱりデートも行きたいよみのりちゃんのこと本当に好きだったし付き合えるなんて思わなかったし……みのりちゃんは制服でもかわいいけど私服はどんな雰囲気なんだろう、僕があんまりダサい服だとガッカリするかもしれないから今度ちゃんと服買おう、いやでも好きな服装聞いてからにしようかな、そのほうがいいかな、どうしよう悩むなって、とにかくこれからのことを色々考えながら家に戻り塾があるからって先に帰っていったみのりちゃんにメッセージを入れたけどいつまで経っても返事がない、もやもやしてると母さんが僕を呼んで「高橋みのりちゃんてアンタのクラスの子でしょ」とか言い出すからドキッとするけど一瞬だった。母親は青ざめていた。手には滅多にならない家電の子機を持っていた。学校からの緊急連絡しか来ない子機。

「塾に行く途中、事故に巻き込まれて亡くなったみたいよ……」

　そこからの記憶はほとんどない。僕は僕が立っているのか座っているのかもわからない。時間が経ったかもわからないし、みのりちゃんはどこにもいない。

　みのりちゃんはどこにもいない。