第4話 問題はさっさと片付けるに限るだろ?

俺はある考えがあり、1コマ保健室で休んで教室に戻った。

「体調大丈夫か?」

大竹は心配してくれた。

「寝たら元気になった。悪いけど、ノート貸してくれないか?」

「ああ。」

渡してもらったノートを書き写しながら、今日の時間割を確認していた。

「……次の現代社会、地理だったよな。」

「ああ、担任の授業だな。アイツなら怒らねえし、寝れるわ。」

「そうだな。」

そんな話をしていると、

「はい、授業始めます。」

教師の声かけあり、 俺は、そのまま授業を受けた。

すべての授業が終わったあと、俺は荷物を整理して学校の飛び降りた現場付近に行くことにした。

……とは行ってもテープがしており、屋上は入れないし、逆に地面周りにも立ち入れないようにテープがしてある。

そこで、飛び降り降りた場所のすぐ階下にいくことにした。

「……ここか。」

3階にある調理室の西側の窓。

普段は料理研究部が使っているらしいが、今日は部活の日ではないらしい。

ここの真上がちょうど飛び降りた場所だ。

「ふーむ。」

窓から身を乗り出して上を見るとフェンスがある。下は花壇になっており、周りには丸く剪定された木もある。そして、大きな木も何本か植わっている。

ここから飛び降りたとしても地面に激突はないだろう。


ーーそもそも死ぬ気がなかった?


素人の俺ですらそう思う。

それならなぜ、わざわざ心中なんて危険なマネをする意味がわからない。

首を捻るが、時間は有限なので次の目的地を目指した。

学校を出て、大通りを通り過ぎ、住宅街に入った。

子どもの遊ぶ声やそれを怒鳴る声が響く、閑静とはほぼ遠い環境だ。

「おいおい、こんなところに住んでるのか。」

そして、立派な邸宅の前に立つ。

俺が向かっていたのはこず恵の家だ。インターフォンを押す。

正直、やりようによっては嫌な自体に発展する可能性もありそうだ。

それでも、動かなければ自体は飲み込めない。

「ーーはい?」

男性の声がした。

「こず恵さんのクラスメイトの二井岡です。大変なことになっているのは承知してますが、グループの課題関係のものを取りに来ました。」

意外に嘘なんてすんなり出てくるものだ。

「はあ。今、伺います。」

気のない声だった。

ドアが開き、すぐに父親らしき人物が現れた。

「忙しいときに申し訳ないです。」

「こず恵のクラスメイト?課題って言われても、どれのことだかわからなくて。」

「これくらいの資料なんですけど、ご存じないですか?ーーグループの発表者変わってしまうので。」

「……だったら、上がる?」

「え、いいんですか。」

男性が出てきた時点で、何となく勝った気はしていた。

父親なんて子どもに関心がないものだ。

少なくともこず恵の家はそうらしい。

「狭い家ですけど、どうぞ。」 








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