第6話 エピローグ

そんな時。

奇跡が起こったのです。


公園での。

三角ベースボール。


「やった・・・。これで、13対ゼロ」

モブキャラ3が歓声を上げて土に書いたホームベースを踏みました。


僕は永遠に続くかと思う拷問に耐えながら。

息を切らして公園の端にボールを拾うために走っていました。


これは。

実話です。


何か月続いたのかは。

記憶にはありませんが。


実際にあったことなのです。


今、書いていて。

冷や汗が滲むほどに。


幼い僕が可哀そうに思うのです。


でも。

その時。


奇跡が起こったのです。


「ひどいっ・・・」

甲高い声が公園に響きました。


見上げると。

コンクリートの滑り台の上に女の子が一人、座っていたのです。


「あんた達、ひきょうよっ!」

彼女は僕よりも年下のようでした。


それでも。

キッとにらんだ表情が凄く、頼もしく思えました。


「三人で一人を虐めるなんて、卑怯だよっ!」

年上の男の子達にもひるまず、大きな声で叫んでいました。


女の子の顔は覚えていません。

だけど、僕は凄く勇気をもらった気がして。


無意識に。

ヤツらに突進していました。


元々。

体格は僕の方が良かったみたいで。


あっけないくらい。

3人相手に、喧嘩に勝ちました。


嫌なアイツには膝蹴りを。

モブキャラ2と3は投げ飛ばしていました。


ヤツらは、逃げていって。

公園に女の子と僕だけが残りました。


「やったね、お兄ちゃん・・・」

セリフは作っていますが、そんなことを言われた記憶があります。


その女の子とは。

その後、会ってはいませんが。


今でも。

感謝しております。


何故なら。

その後は学校で虐められることは無かったからです。


あの子は。

どんな風な大人になったのでしょうか。


できるなら。

会って、御礼が言いたいですね。


本当に。

あの子に、感謝です。


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逆襲 進藤 進 @0035toto

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