第54話 彩香のスキル
「獲得因子増加か……」
スキル名からするに、おそらくモンスターから獲得できる成長因子が増加するスキルだと思う。
けど、凄いな、そんなスキルがあるのか。
どれくらい獲得量が増えるのか分からないけど、かなり良いスキルであることは間違いない。
とりあえず、成長因子について説明するか。
「モンスターを倒すと、成長因子ってのが獲得できるんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ、それで成長因子を獲得すると、身体能力が上がったりスキルの効果が上がったりする」
「なるほど、だから高ランク探索者は皆凄い身体能力をしてるんですね」
「うん、そういうこと。で、彩香のスキルについてだけど、多分その成長因子の獲得量が増えるスキルだと思う」
「それは……なんというか、凄いことですよね?」
「多分な、ゲームで言うなら常時経験値アップみたいな感じだと思う」
ゲームとかでもよく獲得経験値アップするイベントがあったり、アイテムがあったりする。
そのイベントのおかげで短期間で滅茶苦茶強くなる事が出来るんだけど、それを考えると上昇量次第では彩香のスキルは本当に強い可能性がある。
「他にスキルについて分かることはあるか?」
「えっと、どうやら一緒に探索してる人の獲得因子量も上がるらしいです」
「え?マジで…?」
これは、いよいよとんでもないスキルの可能性が出てきたな。
う~ん、どうしようかな……元々一人で探索しようと思ってたけど、彩香と一緒の方が効率よく成長できそうなんだよなぁ。
後はそのスキルの倍率次第か。
レーラで鑑定したらスキルの詳細も分かるかな?
とりあえずレーラさん、鑑定お願いします。
《鑑定・・・種族:人間
個体名:橘彩香
戦闘能力:C
思考能力:C
スリーサイズ:72・63・70
所持スキル・獲得因子増加
獲得する成長因子量を増加させる
現在の獲得倍率は1.2倍》
増加量は1.2倍か…。
これは結構無視できない数字だと思う。
しかも鑑定には”現在の”と書いてあるから、スキルが成長すれば獲得量も上がっていくことが予想できる。
どうしたもんか……。
「師範代?どうしたんですか?」
「ん?あぁいや、なんでもないよ」
彩香を見つめたまま長いこと黙り込んでしまった俺を見て、彩香が少し不思議そうに話しかけてきた。
「とりあえずスキルも取れたことだし、ダンジョンから出ようか」
「分かりました」
ひとまず彩香の目的は達成できたので、俺たちは0階層を後にする。
ダンジョンを出た後、MDDの建物内に行き受付にスキル取得の事を報告すると例の黒い箱が出てきた。
彩香がそれに手を当てると、ペカーっと光りだす。
俺がスキルを手に入れたときもこれで判別したんだけど、よくよく見るとなんか間抜けな絵ずらだよなこれ。
「はい、スキルを所持していることを確認しました。証明書をお持ちしますね」
「分かりました」
この証明書があれば彩香も探索者講習会に参加できる。
彩香が証明書を受け取り、俺たちは少し座れる場所に移動した。
「師範代、今日はありがとうございました」
「おう、それで彩香、この後は講習会を受けるのか?」
「そうですね、私も探索者になるために講習会を受けようと思います」
「そっか」
彩香の腕なら問題なく初心者用ダンジョンなら回れるだろう。
コボルトダンジョンは少しだけ注意する必要があるかもしれないけど、スライムダンジョンに関しては何も心配はないだろう。
「それでその、探索者になることが出来たら、一緒にダンジョンへ潜りませんか?」
「そうだなぁ~」
すると彩香はそんなことを言い出した。
ただ、これに関しては少し予想が出来ていた。
彩香が講習会に参加して探索者証明書を受け取るころには、俺はEランクダンジョンへ潜っているだろう。
Eランクダンジョンでモンスターを倒すのと、彩香と一緒にFランクダンジョンでモンスターを倒すのだと、どっちが効率がいいんだろうな~。
Eランクダンジョンで獲得できる成長因子量もまだ分からないので、実は彩香と一緒に潜った方が効率が良い可能性がある。
そうだな、一回くらいは一緒に潜っても良いかもしれない。
それに、今後の事を考えるとレーラに頼らない普通の探索も経験しておきたい。
そう考えるといい機会かもな。
「分かった、彩香が探索者になれたら、一回一緒に潜ってみようか」
「ありがとうございます!」
俺がそう答えると、彩香は凄く嬉しそうにしていた。
その後、早速探索者になるための準備をすると言い彩香と分かれた。
それじゃあ俺は俺でゴブリンダンジョンへ潜るとしますか。
スキルAIを獲得したけど、なんだか様子がおかしい 井の中の水 @kyoukon
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