なんかよく分からないけど小戦争

飛瀬川吉三郎

プロローグ我が道の心の己書は愛一文字、走り続ける


「俺達は白黒つけられたくねぇっ!敵対する者全て真っ赤に染める赤神賊だぁっ!」


赤神賊賊長、地星龍拳ちせいりゅうけんはとにかく真っ直ぐ進む男だった。


「………なぁ、お前、なんで戦争ってあるんだろうな?」


それに、彼の恋人、喜多方光子きたがたみつこはこう言う。


「あんたが、人を殴ろうとするからよ」


それに地星龍拳は、ドライに笑った。


「………まぁ、お前だけは何があっても守り抜くからな」


そして、十五年の月日がたった。なんかよく分からないけどソ連は崩壊したかどうかも分からないけど、まだ、ソ連は存在していると思っていた。


冷戦は終わったのに、彼の闘争本能には、まだ、火がついていた。


「………戦争………なんか、破壊衝動?………殺人衝動?いや、黒い衝動?あぁ………今は昔とは違う、俺が意味不明に手を赤く染めれば妻が困る」


地星龍拳は、そんな事を言いながら、今夜も一仕事を終えて帰宅した。


バイクも随分長い間乗っていない。愛車のドカティ400は赤いままである。


「………白にも黒にも染められたくない、善悪二元論?はっ俺の妻がどんな服や髪色を変えようが知った事じゃない……俺色に染まっていればそれでいい………」


だが、それは子供が生まれてから、歯車がおかしくなった。


「………息子は自衛隊にしたいな、いや、傭兵か?いやボクサーか?……俺もポケモンマスターズってのをはじめようかな………俺の子供は俺の子供だ」


2020年の年の瀬には、そんな事を思っていた。


子供には無病息災を薬師寺で祈願して、そこら辺の神秘の話はそういうのに任せている、神社で、交通安全を祈願した、それだって、なんかよく分からない。


夏祭りになれば、花火を見に行こうとした。


キャンプで熊を殺したいとか似非空手家のような事を思ったがやめた。


バーベキューパーティーをご近所の仲間達とした。半グレも何人かいたが気にしない、そういう仲間達を呼び寄せた結婚式は盛大に盛り上がった。


「おめでとう、地星龍拳さん、地星光子さん、永遠にお互いを愛すると誓いますか?」


結婚式の牧師はにこやかだった。殺伐としたのを一切感じない穏やかさだ。


「「誓います」」


秋祭りになれば、山車で盛り上がった。


「あぁ………この時間が、今、一番最高だ」


そして、2023年へとなったが、子供の将来の事が心配であり、まずエクスペンダブルズを最初から最後まで見た後、そのまま、一つ、考える事にした。


「………中国との戦争はなんかよく分からないけど、嫌だなぁ………」

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なんかよく分からないけど小戦争 飛瀬川吉三郎 @hisekawa

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