第2話 今更

ピピっと病室の機械音がなる。

その一つ一つの音がなるたびに、自分の命の灯火が消えていくのがわかる。


どうせ、最後の最後に思い出すのは、君の顔なんだ。


雪がシンシンと降るクリスマスの日。

君は雪を見ながらはしゃいでいた。真っ白な世界に微笑む君の姿は、まるで天使だった。


その様子を見ながら、俺は決意を表すために


「別れよう」


と言った。その言葉に、彼女は驚きの表情を浮かべる。


「なんで、?私、何か嫌いになるような事した?」


「してないよ。俺の勝手。好きじゃなくなっただけ」


「そっか、、君が言うなら、いいよ」


「うん、」


「最後に一つだけ言わせて?次の子には、口約束だけじゃなくて、ちゃんと約束して、優しくしてあげて。約束だからね」


「あぁ、うん。またね」


「ごめんね、」


俺は彼女の顔を見らずに、その場をさっていく。

こんな結末を生み出すことになったのは、俺の病気のせいだ。そろそろ俺は死ぬだろうな。


そんなしょうもない男の隣なんか君には勿体ない。君にはもっと素敵な男がお似合いだ。そう、、俺じゃなくてさ…



今度は、約束のウエディングロードを守ってくれるかっこいい男に…。



さよなら。最後まで愛してた。これは嘘じゃない。

きっと君は勝手だって怒るよな。ごめんな、こんな馬鹿な男で。



最後の言葉が「またね」の言葉よりも君が欲しい言葉なんか、わかってたよ。


最後君に「ごめん」なんて言わせてしまう男なんて早く忘れて、幸せになれよ…




君に今すぐ会おうって言いたい、、

今更だってきっと言うかな

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

確かにあれは“恋”だった___. 夢 叶 @muka_dream

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ