これまでの和響さんと言えば、「無明の闇夜に」と「公衆伝播の太郎くん」をはじめとしたホラー作品を書かれていた作家さんでしたが……今回はまさにその集大成ともいえる作品です。前の二作もすごかったんですけど、軽々とこれを超えてきましたよ。
日本海のとある町で起こる様々な現象。
これを百物語とかと絡めて書いている話なのですが、すごい点がたくさんあります。
まずは構成力。ネタバレなのかもしれませんけど、すごい話がどんどん繋がってきますし、終わらせ方とかがすごいお洒落なんですよね。
続いてキャラクター設定。主人公と洸太という男、夢子、ミチル、美蝶子、などなど様々なキャラクターが登場しますが、どれもキャラクター性抜群で、物語を一層盛り上げてくれる存在ばかりです。ヒューマンドラマのような一面があるのも魅力的ですね。
そして何よりもホラー描写!! これを語らずして何を語るんだと言うほど、破壊力抜群なんですよ。
常に胸のざわめきを起こす描写で、ストーリーのテンポとも相まって恐怖心がえげつないことになっていくんですね。
今、僕は風邪ひいてるのですが色んな要因で体の震えが止まらない。
不吉な要素がたっぷりで、最初から最後までずっと楽しめる作品なので、横溝正史受賞を後押しするためにも、ホラー好きはどんどん読んで、秋の身体を冷却しまくりましょう!!