まあるい夜

絲川三未

まあるい夜

そこを誰かは

ちいさな宇宙と云った


わたしはそこへ落ちて

目が覚めた


わたしはひとつの

ちいさな意識

わたしはひとつの

ちいさな目玉


わたしは 

わたしが見えないけれど

わたしは 

わたしを自覚している


わたしは 

わたしをしらないのに

わたしは 愛 

というものをわかっている


わたしは 

わたしの点をさがす

それは 

わたしが降ろされた入口


ねえそうしたら

北極星のようにうごかない点が

こちらをみていた


点は標だから

誰もがすぐに見つけられるのだ


まあるい夜のなかで

めいっぱいひかりを放ち

静寂の向こうから

みんなを呼びかけている


わたしは わたしが落ちた日から

ずっとしっている

わたしのまあるい夜

それは わたしの銀河


そこは わたしが還る場所

そこは あなたも還る場所


二度と会わないあなたたちと

一度も会ったことないあなたたちと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まあるい夜 絲川三未 @itokawamimi_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ