5話
「――なんだ、俺の財宝を奪いに来たわけじゃないのか。カードフォージバトルのため? ああ、
あれ。
意外と話のわかる
「まあ、今までも
あのお姉さん常習犯だ。
「協力してやってもいいが、そうだな。
そう言って彼はにやりと笑う。
「いいか、ギリギリまで引きつけるんだ。そしてタイミングを見計らって――今だっ!」
思いっきりしならせた木を手から離す。その反動で木の先に結びつけた網が宙を舞い、獲物を捉える。四辺には石を結びつけてあるのでその重さで落下して、抜け出そうともがくところを取り押さえる。
「細かい作業は人間に任せるに限るな」
「これが財宝を奪っていく犯人ですか?」
「そうだ。ずっと捕まえたかったが素早く逃げてしまうからどうにも出来なくてな。お前たちのお陰で罠を仕掛けるのに成功した」
それは大鷲だった。確かカードにもなっているはず。そうだ、王冠を戴く大鷲。あの王冠の正体がここの財宝だったんだ!
「さて、約束通りお前に協力してやろう。これを持っていけ」
彼が念じると目の前に光の柱が現れ、まばゆいばかりの光が収束していくと、一枚のカードが浮かんでいた。
「これが……
「ついでにこいつらのも持っていくがいい。多少は役に立つだろう」
そう言って受け取ったカードは全部で三枚。
一枚はこの『財宝を守る竜』のもの、そして『王冠を戴く大鷲』、最後に魔法カードの『翼の罠』だった。
大鷲と翼の罠まで手に入るのは嬉しい誤算だ。
「あれ、財宝を守る竜のテキストってこんなに長かったっけ。えっと、相手の空を飛ぶキャラカードを一枚無効化する……って、こんな効果はなかったはず」
「ん、何を言ってるんだい」
「確か財宝を守る竜のテキストって条件を満たしたらパワーが上がるくらいで、こんな相手を妨害するようなテキストは書いてなかったはず……それくらいは僕でも覚えてるよ」
「んー、そっか。ミコトの世界じゃそうなってたんだ。だけどここの世界はそれで終わりじゃないんだ」
「ええっと、どういうこと?」
タマの言葉は今ひとつ理解できない。
「ここゼノバースじゃカードは生成するもので、そこに書かれるテキストは君たち召喚士が経験してきたことがそのまま反映されるのさ。君はこれからゼノバース中を冒険して、君だけのオリジナルカードを使った君だけのデッキを組むことになる。誰かと同じカードでデッキを組んだとしても、そこに書かれているテキストは君だけのものだ」
「それってつまり……王様と王の左腕でもシナジーが生まれるってこと?」
「そうだよ。君がそうしたいと思って行動したなら、きっとそんな効果も生まれるはずだよ」
「そっか……そっか!」
「うんうん、嬉しそうだね。やっぱり子どもはこうでなくっちゃ」
これは
自分だけのカードを生成して、自分だけのデッキを組むための物語。
空想を現実にするための第一歩だ。
憧れだったカードゲームの世界に転移して最強を目指せ! いずも @tizumo
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