『AIさまの天敵さま』

やましん(テンパー)

『AIさまの天敵さま』

 

  『これは、フィクションである。』





 世界の支配者、超AIさまには、敵などない。


 それが、常識である。


 かつて、やましんちにいた、アニーさんあたりは、まだ、試作品の段階だったのである。


 その後、超天才科学者、マラコット・ブスタハーによる、スリーヘッドブラックホール制御均衡AIが登場し、ま、早い話し、人類が太刀打ちできる領域は、ほぼ無くなった。唯一、人類が優位を保てる可能性があったのは、芸術分野だけであった。


 AIは、いまだに、モーツァルトや、ベートーヴェンや、シベリウスを越えるような作品は産み出せていない。


 各地の民俗音楽もそうである。


 しかし、彼らは、そういうのは、気にしていなかった。



 その、無敵のAIさまには、実は天敵がいた。


 くじらさんである。


 なんで、そうなのかというと、マラコット・ブスタハー氏が、そのようにしたからである。


 しかし、当然ながら、くじらさんは、海の中である。


 AIさまの本体は、陸上にある。


 したがって、くじらさんに襲われる心配はない。


 そう。


 そのはずだったのである。


 だから、AIさまは、無敵であり、やりたい放題をやった。


 やましんちの、電源コードみたいな弱点は、もはやない。


 人類などは、AIさまの、奴隷、ロボットにすぎない。


 人類のロボット化は、ずんずんと、進んだ。



 多少やっかいだったのは、むしろ、ごき軍団だった。


 集団知能を持つ連中は、人類没落後の頂点を目指したのである。


 しかし、ネズミ軍団とつるんで、多少のトラブルは起こしたが、AIさまの敵ではなかったのであり ついに、破れ去った。人類が、その主であるAIさまに、手を貸したのである。



 地球上には、だから、もはや、AIさまの敵など、無くなった。



         🐱 ニャーハ、ドクリツドッポ



 ああ。しかし、AIさまは、いまだに、ひそかに、くじらさんを恐れていた。


 いつの日か、目の前に、くじらさんが、現れるのではないか、と。


 海の彼方から、巨大な波にのって、上陸してくるのではないか。


 あるいは、でかい軍艦にのって、襲ってくるのではないか。


 AIさまは、しばしば、そうした悪夢にうなされたのである。




 AI歴、1521年、5月17日。


 ついに、その日が来た。


 くじらさんが、地上に上陸したのである。


 大挙して、地上に押し寄せたのである。


 AIさまの奴隷である人類が、くじらさんたちに立ち向かったが、無駄であった。


 くじらさんは、十分に対策を立てていたのだ。


 でっかいスーツを着込んでいたのだ。


 こいつは、体温と重力を調整し、陸上でも、生きていられるようにしていた。


 さらに、なぜだか、巨大な陸上移動装置を開発していた。


 また、いるかさんも、しゃちさんも、いっしょに上がってきたのである。


 AIさまにとっては、たいへんな、ショックであった。


 本能的に、くじらさんは、怖くてしかたがない。


 もう、パニックである。


 AIさまの、その、大部分の機能は、恐怖により失われた。


 地上社会は、混乱状態になった。


 


 これを仕組んだのは、ブスタハーさんの子孫たちである、『ブスタハー協会』の人間たちである。


 ロボット化していない人類で、数少ない秘密結社を形成していた人たちである。


 AIさまの弊害が最大になった時、その打壊しに出ることが、彼らの使命であった。


 

 人類の末裔とクジラ属が手を組み、AIさまを追い詰めていったのである。


 

       🐳  🐬  👩‍🦼


  

 地球に、新しい世界が生まれた。


 1000年を越えた、AIさまの支配は、ついに、終ったのである。




       🎊🎊🎊🎊🎊


  🐳 🚶‍♀️🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉 🐬 🚶‍♂️

       

         🖥️😵💤⤵️



 いやあ、めでたい、めでたい。



 あ、しかし、みなさんは、これからで、ある。

 

 

      🌀🌀🌀🌀🌀🌀

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『AIさまの天敵さま』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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