毎日小説No.43 記憶力マスター!

五月雨前線

1話完結

 いよいよだ。


 次で最後の問題だ。この問題に正解出来れば、俺は生き残ることが出来る。30億にも及ぶ賞金をゲットし、元の生活に戻ることが出来るのだ。


 金欲しさにデスゲームに参加したのが1ヶ月前。難易度の高い試練や問題を前に、大勢の参加者が散っていった。当初参加者は300人程いたが、生き残っているのは今や俺一人だ。


 そして、俺が生き残るのはある種必然だった。俺は死んでいった馬鹿な奴らとは違う。ハーバード大卒という地頭の良さに加えて、記憶力がずば抜けて良いのだ。1億人に一人という特殊な素質を持っているらしく、そのお陰で俺はデスゲームをここまで生き延びることが出来たのだ。


『それでは、最後の問題です。この問題に正解出来れば、貴方は解放されます』


 無機質なアナウンスが流れる。


『最後の問題は、記憶力を問う問題です。今から表示される数字を全て覚えて、10分後に全て解答用紙に記載してください』


 俺は心の中でガッツポーズした。よし、これなら勝てる! 記憶力がずば抜けていい俺にとって、記憶力問題なんてちょろいもんだ。最後の最後で神様が味方をしてくれたようだ。


『それでは、問題を表示します』


 どんな問題でもかかってこい! 


 3.14159265…………


 ん? これ、円周率じゃないか。


 円周率は無限に続く数字だ。つまり……。



 俺は叫んだ。泣き叫んだ。


                               完


 

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