第4話
クリス様はいつも突然、僕には予想できないような行動をとる。
さっきだって、いきなり手を繋いできたので、焦って急がなければならないのに喫茶店での休憩を提案してしまった
しかも、その提案をうけて今は甘い飲料水を喉に注ぎ込みながら、さっきあった出来事を頭で何度も思い出している
あの時、目を合わせられず、目線をそらした先で宿屋を視界に入れたときは、さらに焦ってしまった。
クリス様は僕が宿屋に一度目線を向けていたところをみているが、クリス様は、あの宿屋が…そういう宿屋であることに気づいてはいないのだろう
いや、気づかないでいてくれ!でないと僕がクリス様を意識していると勘違いさせてしまうかもしれないじゃないか
そうだ、ただの主従関係なのだから、そこまで深く考える必要は無い
私は何度も同じ結論を頭の中で復唱し続けた。
落ち着きを取り戻した僕は、喉にさっきから甘過ぎると感じていた飲料水を全て飲みほし、先に会計を済ませることにした
「先に会計を済ませておくので、ゆっくりと食べていて下さいね」
と僕が席を立つと
「食べ終ったから一緒に出ましょう」
とあと一つ残っていた一口サイズの四角いクリームパンを口に入れて、後をついてきた。
外を出ると時計塔の針が三時間を指しており、会場には到着が間に合いそうだなと安堵し、さっきの宿屋を一瞬見て理不尽な怒りを心でぶつけながら、会場への歩みを再開した。
クリス様は、さっきよりも顔色が良くなって満足そうな顔をしていたので、意外と喫茶店での休憩は良かったのかと
喫茶店で休憩を僕に提案させた元凶の宿屋をさっきとは違い少し感謝して、クリス様の顔色が良くなった様子を見て
僕の気分も少し良くなって、体が軽くなった気がして、さらに宿屋に感謝をして、引き続き会場へ足を進めた。
お嬢様、植民惑星を旅する km黒 @kmkuro
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