愛宕祭当日②

公演のリハーサル中も僕は奏のことを考えていて集中できそうに無かった。

 しかし、終わった後で明梨が過去一だったと言ってくれたのでどうやら無意識にいい感じに仕上がっていたらしい。

 そのまま時間は過ぎていき、迎えた本番。

 既に順番は次というところまで来ていて、僕たちは舞台裏で待機していた。

 前の団体の発表も終わり、ついに僕たちの団体の名前が呼ばれた。


 アンコールが鳴り響き、新曲を披露する。

 この愛宕村に来て数週間、楽しいことも辛いことも色々とあったが全ていい思い出だった。

 サビの直前に一瞬だけ奏がこっちを向いてグッドサインをする。

 このサインは現役の時のままならアドリブソロをやれというサインだ。


 僕は急なアドリブソロに驚きつつもここでの今までの思い出を思い出しつつ、アドリブソロを成功させる。

 そのまま曲は終わり、会場は拍手に包まれた。


 終わった後で僕たちはバーベキューをした河原で打ち上げをしていた。

 他の人たちが用意している間に奏は僕を呼び出してきた。


 「朝の答え合わせ、するよ。」

 そう言って奏は僕の耳にとある言葉を囁く。

 僕はそれに対して頷くと、奏はいつもに増して笑顔だった。


 「私ももっと昔の私に戻れるように頑張るから吉人もがんばろ。」

 そう言って奏は僕の手を引っ張ってまた河原へと戻っていく。


 また学校に行こう、そして軽音楽部を続けよう。

 僕は心からそう思った。

 

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幼馴染の彼女と学校で活動していたバンドを僕は勝手にやめたまま不登校の道を歩んだ ぽてぃ カクヨム金のたまご選出 @potty9828

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