第30話 砦

妖精たちの力は圧倒的だった。拠点だった平原は木に囲まれ視界を遮られつつも日光がちゃんと当たるように設計されている。


また、ツリーハウスができたことでハーフリンクたちが拠点を見守る係となった。


公衆浴場も設置され、サラマンダーとウンディーネが協力してお湯を張っている。常にお湯があふれている状態なのでウルフたちものんびりとお湯につかっても毛がすぐに流されていく。


その光景を見て、ノーム達がうずうずしだしたので私はダンジョンの外に向かうか聞いてみるとすぐに頷いた。


早速、ダンジョンの外に向かおうとすると他の妖精たちもついてくる。頼もしいのだがそれでいいのかを聞くと。


「われわれ妖精を縛ることができるのは幻獣たち程度じゃよ。ドラゴンやユニコーンなんかのな」


というので私はあきらめて第2ダンジョンへ向かうことにした。


そして、第2ダンジョンへ向かっている途中、オークを運んでいるドワーフたちに目が行く。


私たちは駆け足で第2ダンジョンへ向かうと、そこはまだ石壁が作られている程度の土地だったがオークの群れがあふれだしていた。


ウルフとピクシーで抑えることができているが、時間の問題だと思ったその時。


地中から木の根が大量に張り出し、オークの体を縛っていく。後ろを振り向くとドリアード様が音のしない口笛を吹いていた。


「ドリアード様。ありがとうございます」


と私がお礼を言うと、ドリアード様はぽかんとした顔をしてこう言う。


「なんじゃ?オークと戦闘訓練でもしているのかと思ったわい。手を出したらまずいと思って最小限の力でごまかしておったのに・・・」


私は苦笑いで答えた。


ドリアード様と話をしている最中にノーム達はドワーフの設計図を見て、勝手に土魔法を使って壁を作っていく。平らな壁ではなく通路や弓矢を打つための場所も一緒に作っているので手慣れている野かと思っていたが。


「あ奴ら、ドワーフたちの設計図通りに作っておるな。こまごまとした装飾がなっとらんわい」


と厳しい言葉を吐いていた。


ドワーフたちはぽかんとした顔で自分たちが設計した砦が出来上がっていくのを見守っている。それは足場作りしかできないと言っていた人も同じだ。


それなりに準備を進めていてくれたようだが妖精の力の前にはその準備は何の力も果たさなかった。それどころか、ドリアード様に片手間で片づけられていく。


「あいつらの邪魔になるだけじゃからの。それにめったに力を見せる機会がないせいか妙に張り切っておるわい」


そうしてノームの力のみで砦は30分で完成した。ついでにあふれだしていたオークたちはドリアード様によって捕縛され、ウルフたちにとどめをさされていた。

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現ダン~世界にダンジョンが出現したら離島はどうなる?~ るいす @ruis

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