かがみ
くもまつあめ
かがみ
姿見の前に立って、ヒラヒラと新しいブラウスを着てみて身体をひねってみる。
レースが沢山ついたブラウスは私の身体の動きに合わせてヒラヒラと宙を舞う。
右左右左…
よく似合っていると我ながらうっとりする。
鏡に手を当てて、うんと近づいて、ブラウスを着た顔をじーっと見つめる。
もう少し唇がふわっとしてたらなぁ、
もうすこし小鼻がすっとしてたらなぁ
あー今日も涙袋は完璧だなぁ
そんなことを考えながら鏡を見ながら今度はくるくると顔を動かしてみる。
髪とブラウスの襟がヒラヒラとするのを眺めながら、ふと鏡の中の自分と目が合う。
瞳にはブラウスを着た私が映っている。
その瞳のずっとずっと奥、今まで気にしたことなかったけど、その奥に何か見える気がする。
また鏡に手を当ててぐーっと近づいて、今度は瞳をの私を見ようとする。
近づきすぎて、自分の吐息でかがみが曇る。
もう少しで見えそう
もう少し…
曇ったところを手でざっと拭う。
見えた!
私の瞳の奥には白い蝶が蜘蛛に捕らわれてもがいている姿が見えた。
ヒッ
と驚いて後ろにのけぞる。
思わずしりもちをついて床に落ちる。
背後に気配を感じてゆっくりゆっくり後ろを振り向くと…
そこには、大きな大きな蜘蛛が嬉しそうにヒラヒラと足振っていた。
かがみ くもまつあめ @amef13
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます