ペンギン爆弾
七海 司
ペンギン爆弾へのクレーム
電話のコール音が鼓膜を震わせた瞬間、電気信号が脳に到達する前に面倒臭いという感情が生まれた。それを押し殺して受話器へ手を伸ばす。
御社、爆発しねぇかなぁ。
「こんにちは。(株)悪の組織営業部でございます。本日はどのようなクレームでしょうか?」
「どうなっているんだ! 不良品だったじゃないか。後一歩で建設戦隊を壊滅させられたというのに!」
「大変申し訳ありません」
データベース/キーワード/入力/購入履歴/ヒット。
ダンゴウジャーの敵対組織ニナイテブソーク/商名リアル追求の動物爆弾。
「秘密裏に都市部へ爆弾を配置する計画が台無しではないか。何で南国都市にペンギンがいると思ったんだ! 秒でバレたんだよ! そもそも何で爆発しないんだ!」
脳裏に都市部に迷い込んだ一羽のペンギンは所在なさげで可愛かったな。
「可愛さは爆発しておりましたが」
「うるさい! このままじゃ、俺の首が飛ぶんだよ」
最後の方は声音が震えていた。物理的に首が飛ぶのだろう。だから担い手不足なんだ。
「お客様、本社の製品はリアリティにこだわった商品となります。全てにおいて本物と同じように作成されております」
「だから」
「お客様、本物のペンギンは爆発しません」
ペンギン爆弾 七海 司 @7namamitukasa3
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